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転生とらぶる
ペルソナ3
1849話
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「マハラギダイン」

 俺と死神の間で戦闘開始の合図となったのは、その一言だった。
 死神の使った魔法と同時に、周囲一帯が灼熱の地獄と化す。
 普通であれば、それに対抗する手段は少なく、呆気なく身体を燃やしつくされるだろう。
 それこそ燃える天空クラスの威力を持つ魔法。
 そんな魔法をタルタロスのような狭い場所で使ったのだから、その威力は普通より圧倒的に強くなるのは当然だった。だが……

「使う魔法の選択肢を間違えたな!」

 その一言と共に、炎の中を瞬動で死神との距離を詰める。
 俺は種族こそ様々な精霊の特性が入り交じった混沌精霊だが、実際には火の精霊の要素が大部分を占める。
 これは俺が暴走して喰らった精霊云々という訳ではなく、純粋に俺の得意属性が火だからという点が大きい。
 つまり、炎というのは俺にとってホームグラウンドな訳だ。
 それは、白炎という炎を操る俺の能力を見れば、明らかだろう。
 そんな訳で、恐らく死神にとって最強の火の魔法だろうマハラギダインだったが、それは俺には全くの無意味だったのだ。
 溢れ出る炎の中だったが、その炎は俺に危害を加えることは出来ない。
 そのまま炎の壁を突っ切り、死神との間合いを詰め、ゲイ・ボルグを振るう。
 閃光の如き突き。
 死神にとっても、まさか自分の放つ炎の魔法を俺が防ぎもせず向かってくるとは思わなかったのだろう。
 一瞬動きを止め……そして、一瞬という隙があれば、俺には十分だった。
 放たれた突きは、死神の左肩を貫き、そのまま切断する。
 長い銃身を持つ拳銃を握ったまま、死神の左手は空中を舞い……だが、死神には痛みというものがないのか、一瞬の躊躇なくこちらに向かって右手に持っていた拳銃の銃口を向けてくる。

「加速」

 精神コマンドの加速を使い、その場から瞬時に移動。
 放たれた銃弾はタルタロスの通路を抉る。
 だが、既にそこに俺の姿はなく、死神の左側に回っていた。
 ……そう、左肩から先端を失った、左側に。
 右側であれば、拳銃を使って何とか対抗出来たかもしれないが、左側ではどうしても反応がワンテンポ遅れる筈。
 そのまま大きなダメージを与え、一気に死神を葬る。
 そのつもりだったのだが……死神は、その奇妙なマスクを被った顔――もしくはシャドウだけにそのマスクがそのまま顔なのかもしれないが――向ける。
 ゾクリ、と。
 それだけの行為に念動力が危険を知らせてくる。
 半ば反射的に、俺は後方に飛び退く。
 念動力の危険を無視して攻撃すれば、死神に致命傷を与えることは出来たかもしれない。
 だが、今まで幾度となく念動力に救われてきた俺としては、念動力が知らせる危険を無視出来る筈がなかった。
 後方に飛び退きながら、大きく手を振るう。

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