第二話 使い魔として
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通り目を瞑った。
耳に入るのは衣服がこすれるような音と、着替えと言う作業をこなすルイズの小さな息遣いと声だ。
ただでさえ美少女な上に綺麗な声をしているのだ。それだけでも理性が飛びかけるに等しい条件がそろっていたが、サタンは耐える。
「良いわよ」
「――ったく。見られたくないなら最初から着替えて来るなりしろよな」
「私の部屋にアンタがいるんだから仕方ないじゃない。それより、それらを明日の朝のうちに洗っておいて」
そう言ってルイズが再び投げてきたのは、今まで彼女が身に纏っていたのであろうレースの付いたキャミソールとパンツだった。
ほのかな温かさを帯びたそれに一瞬思考が飛ぶ経験を覚えるサタンだが
「おい、どういう意味だよ?」
「雑用も使い魔の仕事と言うことよ」
「ちなみに、俺が寝る場所は?」
「勿論使い魔だから床の上??って言いたいところなんだけど、風邪なんて引かれたらたまったもんじゃないもの」
そう口にしてルイズはベッドの上にあった掛布団をサタンに投げ飛ばす。
おそらくコレを床に敷いて寝ろとでも言いたいのだろう。確かに何もない硬い床の上で寝るよりはマシにはなるだろうが、異世界の魔王に対してこんなことを強要させるルイズの神経はどうなっているのだろう。
そんなことを割と本気で考えながらサタンは苦笑すると、手にしたルイズの衣服やら何やらを脇に置き掛布団を床に敷き
「んじゃ、お言葉に甘えてコレを使わせてもらうことにするよ」
「えぇ。あと、アンタに限って起きないとは思うけど、変な気を起こそうとは思わないでよね?」
「分かり切ったことを言うなよな?」
「ふっ、そうね」
サタンの言葉にルイズは微笑むと、指を弾いた。
瞬間、天井に吊るされたランプから光が消えると同時に部屋の中から音が消えて二人の息遣いだけが耳に入るようになる。
思えば女性と共に同じ部屋で眠るのは初めてかもしれない。
変な恥ずかしさを胸の内に秘めながら、サタンは長い夜を過ごしていくのだった。
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