第二話 使い魔として
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るし、もう一度戻れるなら戻りたい。だが、今のところは戻れる方法も無いわけだし、今すぐ戻ってもまた殺されるだけだ。だから、しばらくは大人しくしてるさ」
「そう」
吹っ切れたかのようなサタンの物言いにルイズは安心したかのように微笑みながらつぶやく。
彼女も少なからずサタンをこの世界に呼んでしまったことに罪悪感を覚えてはいたのだろう。
相手の意志を無視して使い魔として現世にその姿を召喚するのが『サモン・サーヴァント』なる魔法だというのがサタンの見解だ。
自分はどうであれ、ルイズを除いた子供達は召喚した使い魔と仲睦まじい様子を見せていた。
おそらくは召喚される側も召喚する側と息の合うパートナーが選ばれるのだろうが、やはり使い魔たちに召喚士を選ぶ権利は無いように思える。
だからこそ、自分のように言葉を話せるイレギュラー的存在に罪悪感を覚えてしまったのだろう。
「何にせよ、魔王だった俺は死んだんだ。こっちではルイズ・フランソワーズ・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔であるサタンに他ないしな。これからよろしく頼むわ、ご主人様」
「え、えぇ。アンタの働きに期待してるわ!」
サタンの従僕する姿勢に気を良くしたのか立ち上がりルイズは笑う。
そんな彼女を目にし、やっぱり女の子は笑顔が一番だと心の中でサタンは思う。しかし、それと同時にふとした疑問が頭に浮かぶ。
「ところで、使い魔ってのは具体的に何をするんだ?」
「えっと、そうね。まず、使い魔は主人の目となり耳となる能力を得られるわ。つまり、使い魔が目にしたものを主人も目にすることが出来るの」
「なるほど。二人の視界を共用するようなものか。それなら俺の世界にも存在したな」
そう口にするなりサタンはルイズの背後に移動すると、彼女の大きな鳶色の瞳を自らの手を添えて隠す。突如として視界を奪われたルイズは驚愕したように短い悲鳴を上げたが
「視界同調」
サタンの口にした言葉と共にルイズの悲鳴が感嘆の声に変わった。
『視界同調』は対象の目にしている光景を自分で見たり、他人に見させたりできる魔法である。
持続時間は使用者の魔力量にも左右されるが、基本的に無制限に使用可能。潜入任務だとかに特化された魔法だが、魔王城では浮気をする夫を監視するために使用する女性魔族も少なくはなかった。
かく言うサタンもこの魔法には苦しめられた経験もある為、あまり多用したいものでもないのである。
「凄い。アンタの目にしている物が見えるわ!」
「何だ? ついさっきまでも俺の視界から見た光景が見えていたんじゃないのか?」
「どういう理由なのかは知らないけど、さっきまでは全然見えなかっ
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