第二話 使い魔として
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「お前は一応俺の命の恩人だ。お前の立場が危うくなる状況を黙ってみていられるほど落ちぶれちゃいない」
「そ、そうね。ご、ご主人様の立場を守るのは使い魔の仕事だもの。と、当然の義務だわ」
「さも当然のように口にしてるが、頬が緩んでるぞ? もう少し素直に感情を表したらどうなんだよ」
「う、うっさいわね! 別に良いでしょ私のことは!」
身を乗り出し顔を赤く染めて反論するルイズだが、その照れ隠しにも似た怒り方ではサタンはおろか子供だって泣かすことは出来ないだろう。
そんなルイズに肩をすくめてみせたサタンだが
「俺からも聞きたいこと。いや、確かめたいことがある」
「な、何よ?」
「ここは本当にフレイティアじゃないのか?」
「――その国が実在するかどうかは別として、今私達が住んでいるこの大陸はハルゲニア。アンタの言ってる大陸じゃないのは確かね」
腕を組み、視線を逸らしてルイズは答えた。
「信じられない」
「私だって信じられないわよ。『サモン・サーヴァント』で召喚した存在が人で、しかも異世界から来た魔王だなんて。何かのおとぎ話に影響されてるんじゃないかって思えてしまうわ」
「正確には人じゃ無く魔族だ。どういう理由なのかは知らないが、身体が変化してるけどな」
そう言うなり再び自分の身体を確認してみる。
纏っていた軍服はそのままに、皮膚や見た目が明らかに変化した身体には今も違和感を感じてしまう。
元々、魔族だった自分の身体は黒い体毛に覆われ、身長は三メートル以上はあったはずだ。
それが今では目の前のルイズより頭一つ分大きなくらいで、体毛も生えていなければ皮膚も少しの損傷で大怪我を招いてしまいそうなほど弱々しく成り果ててしまっている。
「ルイズ。一応聞いておくが、俺を元の世界に返すことは可能か?」
「――無理ね。アンタは私の使い魔として契約しちゃったし、一度使い魔として契約したからにはもう動かせないのよ」
「俺をこの世界に呼んだ魔法をもう一度使用したとしてもか?」
「……えぇ。『サモン・サーヴァント』は一方通行だもの」
少しだけ申し訳なさを感じるトーンで答えるルイズにサタンは苦笑してつぶやく。
薄々感じていたことだ。
世界と世界を渡って移動することなど、言葉にすれば簡単だろうが実際に起こすとなると非常に難しいことに決まっている。
何の偶然か今まさに死にそうになっていた自分はそれをルイズの言う『サモン・サーヴァント』なる魔法で可能にさせたみたいだが、それを再び起こしたとして成功するかも疑わしい。
「やっぱり、元の世界に戻りたいの?」
「――戻りたくないと言えば、それは嘘になるだろうな。あっちでやり残したことは山ほどあ
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