第二話 使い魔として
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いブラウスにグレーのプリーツスカートを身につけた、所謂魔法学園チックな服装。
そんな彼女は、扉の前に仁王立ちしてサタンを見据えている。
「お前、今まで何処にいたんだ?」
「ちょっと野暮用でね」
疲れたようにため息を吐きつつテーブル前に用意された椅子に座るルイズ。
その整った顔立ちには疲労が見て取れる。しかも、その視線は的確にサタンを見据え、少しだけ非難の感情すら垣間見えた。
どうやら彼女が部屋を留守にしていた理由は、少なからず自分にもあるようだ。
それを理解したサタンは彼女とテーブルを挟んで向かい合うように椅子に座ると
「何があった?」
「今朝の騒ぎのことよ。アンタを召喚してからの後の事。そのことでコルベール先生??今朝あの場に居た先生に呼びだしを受けちゃってね」
「なるほどな。それで? こうして解放されたということは、大して問題はなかったということなんだろう?」
「そうね」
ルイズはそれだけ口にすると、向かい側に座るサタンを目を細めて見据えた。
そこには疑惑の感情が隠すことなく表れていて、サタンは思わず苦笑する。
「先生に呼ばれて私が何て言われたか分かる? 『ミス・ヴァリエール。君の召喚した使い魔だが、ただの平民かもしれないが、呼びだされた以上彼を使い魔にすることは絶対だ。君がどのように反論しようとも、春の使い魔召喚の儀のルールはどんなルールよりも優先されるのだよ』ですって。まるで、今朝の事が無かったかのような口ぶりだったわ」
「そうか。なら、記憶操作は成功したということだな」
サタンの言葉にルイズは”やっぱり”と目に見えて分かる態度を見せた。
そして、彼を見据える視線をさらに細めると
「どうして記憶を消したりなんてしたのよ?」
「愚問だな。俺の力を目にしたそのコルベールの態度に、お前を馬鹿にしていた連中の絶望しきっていた表情。あれをそのままにしていたら後々面倒なことになりそうなのは当然だ。騒ぎにならないように下までさ」
サタンにとって人が自分に対してどのような感情を持とうがどうでも良いことだ。そんなもの、自分自身が気にしようとしなければ問題など無いのだから。
しかし、自分は良くても他の人物は迷惑がるかもしれない。
例えば、今回の場合でいうとルイズだ。
彼女はおそらくサタンを召喚した立場の人間。どういう理由で自分を召喚したのかは知らないが、サタンがルイズ以外の連中に恐怖を与えたままあの場を去っていれば、確実にルイズは居場所を失うことになっただろう。
化け物じみた存在を召喚するほどの少女だ。
尊敬されて戦争に駆り出されるか、化け物として蔑んだ目で見られるかのどちらかの道を歩むことになるのがオチである。
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