EX回:第3話(改2)<青い髪の少女>
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な彼女だ。その言葉でハッと我に返る私たちだった。
(今回、遠征メンバーに美保の五月雨を連れて来なくて正解だったのかな?)
私は目の前の五月雨と、ほんの数日前、境港の夏祭りで寛代と並んで浴衣を着ていた彼女の姿をダブらせていた。
「どいてぇっ! ……ぽいっ」
「痛っ!」
いきなり後ろから跳ね飛ばされそうになった。金髪の……夕立か?
「Oh、ヘルプぅ」
続けて機内からは金剛。二人の艦娘は慌ただしく飛び出すと海に落ちんばかりの勢いで内火艇に飛び乗った。
その反動で機体と内火艇が揺れて機体と船体の固定作業をしていたブルネイの艦娘が慌てている。
「おいっ」
ムッとした私が注意する間もなく彼女たちは甲板に腹ばいになって海面へ向かってゲロゲロやり始めた。
「あ……」
私と他のメンバーは唖然とした。
もちろん甲板上の「五月雨」も目を丸くしていた。
呆れるやら恥ずかしいやら……
「誠に申し訳ない」
私も内火艇に乗り移りながら相手側に苦笑するしかなかった。
「いえ……」
五月雨は応えた。その困惑して恥らうような雰囲気が、まさに五月雨そのものだった。
「お前らなぁ」
私は照れ隠しのように美保のゲロゲロ娘たちに声を掛けた。
「それでも帝国海軍かよ? ……ったく」
すると金剛が恨めしそうに振り返った。
「シット……船と空は違ぅ」
歪んだ顔も可愛いが……美人台無し。
一方の夕立。
「電気で……痺れたっぽぃ」
金髪の彼女は向こうを向いたまま弱々しく、いつもよりは高いオクターブ声で言った。
「はいはい。大変でしたね」
遅れて内火艇乗り込んできた秘書艦の祥高さんも苦笑していた。
続けて夕張が顔をしかめて声を掛ける。
「夕立? 髪の毛、汚れるわよ」
突然の出来事に目を丸くしていたブルネイの艦娘たちだったが、少し落ち着きを取り戻したようだ。
五月雨が改めて敬礼をした。
「ブルネイ泊地・第3鎮守府所属の駆逐艦、五月雨です。あの……緊急事態とは、この方たちでしょうか?」
「あ」
……そうだった。
私の後ろから作戦参謀が小声で呟く。
「本来の認識コードが通用しないってことはブルネイは私たちのことも演習のことも知らない恐れがあるな」
「そうですね……」
(ここは一時的に遭難のフリをするしかないかな?)
私の意図を察した彼女は軽く頷いた。
目配せをした私は直ぐに機内に引き返すと、まだボンヤリして座席に座っていた寛代に言った。
「寛代、作戦指令だ」
「……」
無表情だが、こちらを見て命令を待つ彼女。
私は声を潜めて続ける。
「お前は病気のフリをして現地の病院へ行くんだ。そして、この鎮守府の情報収
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