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ダン梨・S
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なやり方を覚えてきたんだろう」

 休憩室でこっそり手紙を開けて読んだエイナは、知らないうちに厄介ごとに巻き込まれそうになり、しかもそれに対抗するために情報収集を秘密裏に始めようとしている子供冒険者を憂うと同時に呆れ果てた。
 本当に、性格から世話のかかり方、心配の方向性までベルとは似ても似つかない。
 だからこそ、余計にエイナとしては心配になるのである。

(こういう頼り方をされたい訳じゃないのに……どうして君はこんなにも子供っぽくなれないの?)

 エイナにはどうしても、バミューダという存在が理解できなかった。
 今、この街で良くも悪くも彼の事を理解できているのはベル・クラネルのみである。



 = =



「神様ー、俺には新武器ないんっすかー?ベルだけ特別優遇は酷いと思いまーす!」
「いや、しょうがないんだって。主力武器が鞭だって言ったら『流石に作ったことない』って言われたし。絶対に埋め合わせするからさぁ……ねぇ機嫌直してよぉ!」
「つーん」
「バミューダくぅん!!」
「神様、遊ばれてますよー。バミューダの事だから欠片も気にしてないですよー」

 いじけるふりしてベッドでふて寝するバミューダの服を掴んで涙目になる女神ヘスティアの方を見向きもせず、ベルはじゃが丸くんを齧って本を読みながら興味なさげに忠告した。バミューダがよくやる手口である。ベルも7回ほど引っかかった。またやるタイミングが具体的で嫌らしい罠なのである。

「でもやっぱ魔導書で、しかも割と使い勝手のいい品が僕の手元にピンポイントで回ってくるっておかしいよね?何さファイアボルトって。電気の速さで炎を出すの?メチャ強いじゃん」

 豊穣の女主人で発見され、シルに手渡されたその本を読んだベルは、念願の魔法を使えるようになっている。しかしベルは降って湧いた幸運に喜ぶ半面、結構な割合で訝しんでいた。そもそもに於いて、こんな貴重品を置きっぱなしなのがおかしい。あとシルさんがそれを「折角だから読んじゃえ!」とノッて来たのもどうかと思う。
 魔法の話になると、騙されたと気付いた女神ヘスティアに「ばかばかー!」と胸をぽかぽか叩かれているバミューダがベッドから足を下ろしてこちらを向いた。
 
「最初はゴミ魔法でスロット埋められた上に『勝手に使うな』って高額請求される新手の詐欺とか考えたんだけどなー、俺は」
「バミューダはよくそんな人間の屑みたいな発想をポンポン思いつくよね。でもまぁ、普通そんぐらいしか魔導書置いていく理由ってないのも確かだし……」
「まぁ奇特な魔法使いか、或いはメンヘラヤンデレビッチな神様がプレゼントしてくれたんじゃね?」
「前者がいいな。一生に一度の願い使ってもいいから前者がいいな」

 何故かと言うと後者の方が可能性高
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