GENESIS・PROJECT
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った。
―――今この実験を知っているのはPDM担当課のパチュリー、神子、そして元凶にこの私ぐらいだろう。奴隷を実験台にして行うよりは、恐らくこの方が彼女にとって楽しい遊戯だったのだろう。それだけの、単なるこじつけな理由で同胞を実験材料にしたのだ…。
「にとり…アイツも狂ってるわね。見損なったわ」
「河城博士は今誰に細胞移植を行ってるかは知らないが、どうせ奴隷にでもやってるだろう。…奴は未だにGENESIS細胞を研究している。あの実験台の同胞の死に方、その断末魔が癖になったのだろうな。…ヨーゼフ・メンゲレにも劣るまい」
ここで長々と会話をする二人に疑問を抱き、姿を見せたのはフランであった。彼女はどら焼きを片手に、それを頬張りながら霊夢を純粋な眼差しで見つめたのだ。…もしかしたらフランがにとりの実験に用いられた可能性もあったのだ、と言う恐怖が不意に滲み出る。他にも幻想郷の誰かがその惨たらしい人体実験の材料になっているのではないか――と言う心配が頭を過ぎるのだ。
「二人とも、話長いよ」
「大事な話の最中なのよ。…次の出発のために準備しときなさいな」
霊夢に言われて素直に動く彼女。何処か可愛げな背は視界の中で平静に佇んでいた。到底及ばぬ神聖なる戯言の空虚さが、そんな彼女にさえ及ぶと言う信じ難い現象を今目の当たりにする霊夢にとって、フランは哀れな存在であった。そんな彼女を守ってやりたいと言う母性的な意思も隅に湧く。
「そういやテレビで内閣とPYT研究所が手を結ぶことを報道していたな。…PDMにかける補助金要請をして、内閣側から通ったみたいだが」
「補助金要請!?…内閣が補助金を送るの!?」
「国家もグルだ。…現在の首相、菫子内閣総理大臣が奴隷制に賛成しててな。奴は奴隷賛成派の立場で、国会で予算案を議決させてはPYT研究所に資金でも送るはずだ。そうすれば…後は分かるだろう。奴らの思う壷さ」
「資金面での敵もいた訳ね!…国会はいつ行われるかしら?」
「今の時刻から二時間後、場所は国会議事堂だ。場所はA区、案内標識を見れば大体分かる。菫子首相を倒せば、資金面での補助は無くなるだろうな。――こういう事言うのは余計だと思うかもしれないが、我々が導いた過ちの民主主義を是正してくれ。今に世界は恐怖と凄惨の闇に覆われるだろう。…武力で彼女も倒してきてくれ!」
「言われなくても分かってるわ!このまま乗り込んでやるわよ!」
彼女はバイクに跨ると、銃の手入れをしていたフランを呼んだ。彼女はすぐさま反応しては乗り込み、預け入れられた空にさよならを告げる。既にエンジン音を響かせる霊夢は確固たる決意を胸に、例え相手が大衆の意思の表現者であれども己の義を貫こうとする〈運命への翻し〉を行おうとするのだ。誰にでも
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