GENESIS・PROJECT
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陥り、その逃走犯が与えた痕跡は極めて大きいものと言えるだろう。平和に暮らす全員に恐怖を与える彼女は奴隷たちの味方でありながら、目的の為なら殺人も容赦しない凶悪犯であった。これを故に『正義』とでも呼称しているのだろうから、余計にタチが悪い。
「早く怪我を治さないと…」
神子は暴れている巫女を何とかして止めたかった。──これ以上、パチュリーとにとりに迷惑を掛けていては、自分の心が痛む、と何度も思ったのである。彼女は積み重なって怒りを覚えた。殺人と破壊を繰り返す恐怖の紅き巫女に、ただならぬ残酷さと残虐さへの恩讐として。
◆◆◆
霊夢たち三人はすぐに路地裏に止めてあったバイクに跨り、運転を霊夢として矢庭に出発を図った。フランは空の上に座り、実質は二人乗りに程近い。苦々しい顔立ちを浮かべる彼女は喧騒な駅前から逃れようと巨大なエンジン音を響かせて走り去らんとした。そんな彼女たちを追い詰めようとする警備員たちから高速で逃げ、バイクであの農村へと向かった。巫女は一度行ったからに道順は一通り覚えているつもりであったのだ。
「お空をひとまずあそこに置いていくわ。…三人もいたら逆に狙われやすいのよ」
「うにゅ…」
何も分からないお空は顔で浴びる風の重みに必死で耐えていた。過ぎ去る景色は無常観を憚らせる事無くして、ただ変遷の色を帯びていた。当たり前のように存在する軒を連ねた駅前街は時を移さず住宅街へと変わる。二車線の道路を暴走し、信号さえ無視する姿は傍から見て異常的であるのは異口同音に拠る処の話だろう。
そんな彼女たちの位置情報を察知したPYT研究所製のヘリコプター三台が空中から疾走するバイクに向かって機関銃で射撃を始めた。雨あられの如く降る銃弾に霊夢はスロットルを握り、最高速を出す。バイクのメーターは既に限界であった。雹が降るように弾ける音を道路上で立てては、何事も無かったかのように去る銃声。バイクに這いつくばっていく様は万人にもどかしさを感じさせるのだろう。横の家々や人々がすぐに視界から消え、風の重みが三人に伸し掛かる。
「…二人とも、ちゃんと掴まっていなさい!」
霊夢はバイクを巧みに操作し、飛んでくる銃弾を華麗に避けながら高速で走る。PYT研究所のヘリコプターを操縦している社員たちも高速で走り抜ける三人に機関銃の狙いを定めようとするが、彼女たちは速かった。当てることは全く出来ず、その誤差は余裕を誕生させた。少し口元を緩め、先を見据えた巫女はトンネルが近づいているのを見出した。
「このまま行くわよ!」
三人は銃弾を躱しながらC区とB区を超え、ヘリコプターを撒いたのだ。山村部に逃走した彼女たちは位置情報を誤魔化す事に成功し、そのままB区を超えた先の農村部に行ったのである。同じトンネルや陸橋を通り、フランがもともと
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