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ゼロの使い魔王さま!
第一話 魔王召喚
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「そうよ。アンタは私が召喚した使い魔なんだから。主人の許可なく消えるなんて許さないわ!」

 無い胸を張りそう告げるルイズに対し、サタンの思考は停止する。
 その代りに頭の中を支配したのは、現在自分がいるこの場所がフレイティアではない他の場所なのではないかと言う仮定だった。

 確かにこの場所にやって来てからおかしいと思う個所はあった。
 目の前のルイズといい、遠くで倒れている子供達といい。魔族と言う単語を耳にしてもまるで恐怖を示さなかったことである。

 この場所がフレイティア圏内であったなら、彼女らは魔族と言う単語を耳にした時点で逃げるか殺しにかかってくるかの対応を見せるはずだ。
 それが無かったとするなら、魔族の侵攻を受けていないよっぽどのド田舎か、魔族を知らない”世界”にやって来たかの二つに絞られるだろう。

「つまり、俺は別の世界に迷い込んだってのか?」

 全身から力が抜けるのを感じ、サタンはその場に崩れ落ちるように膝をついた。
 今までの自分が消え去ったかのような気分だ。いや、事実自分は消えてしまったのだろう。
 部下もいなければ魔族も存在しない世界。

 唯一同じものがあるとするなら今のところは魔法ぐらいだろうか。
 しかし、それもフレイティアに存在していたものと異なるものであるのは間違いない。

 魔族を束ねる最強の存在から一転し、天涯孤独の身の上に置かれたサタンはしばらくの間茫然としていたが

「ふっ。――くくく、あはっはっはっはッ!」

「な、何よ!?」

「なるほど、異世界か。確かに魔族もいなければ部下もいない退屈そうな場所だが、悪くはない」 

 顔を上げて高笑いを決め込むサタン。

 茫然と自分の置かれた状況にただただ絶望しているのでは魔王は務まらない。故にサタンは開き直ることで自らを奮い立たせ、現実を受け入れることにしたのだった。

 そんなサタンを憐れむような、それでいて呆れたように見据えていたルイズ。しかし、一つため息を吐くと身を屈めて彼との距離を詰める。

「――っておい。人がせっかく自分を慰めてるのにお前は何をしようとしてんの?」

「うっさいわね。まだ契約が終わってないのよ」

 ルイズは苛立ちの籠ったような声で短く答えるだけで詳細を口にしようとはしない。
 その代りに彼女のその小さくも整った口から奏でられるのは、澄んだ鈴のような心地の良い音色で奏でられる詠唱のようなものだった。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ!」

 フレイティアに存在する魔法の全てを熟知しているサタンにも分からない詠唱。
 何を発動しようとしているのかさえも
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