第八章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ものも。何か」
「市場の品物まで活気に満ちている様に思えますね」
「はい」
こう答えるシュターゼンだった。
「とても」
「そうですね。こうしたものを見るのもです」
「旅ですね」
「それで今日はどなたとお話されましたか?」
「はい、少しですけれど」
だが話したとだ。シュターゼンは隣にいるシュトックハウゼンに話した。
「あの秘書の方と」
「ああ、あのミュンヘンの方ですね」
「いい方ですね。淑女です」
「名前にフォンとあるだけではないですね」
「そうですね。それもありますから」
貴族の血をひく証である。このフォンという称号はだ。下級貴族であることも多いがだ。
だがそれ以上にだとだ。シュターゼンはさらに話す。
「ですがそれ以上に人間の資質として」
「淑女なのですね、あの方は」
「はい、そうです」
こう言うのだった。
「人間がそうであると。本当に」
「人間は心です」
「生まれではないですね」
「そして外見ともです」
大事なのは内面だというのだ。シュトックハウゼンはシュターゼンにこのことも話した。
「内面を見て。決めたいですね」
「全くですね。そう思う様になりました」
以前の彼とは違うということもだ。シュターゼンは述べた。
「本当に」
「ですか。しかしそうしたお話は後にして」
「はい、今はですね」
「今はこうしてこの市場を見ましょう」
これが今のシュトックハウゼンの言葉だった。
「そうしましょう」
「それでは」
「何を買われますか?」
温和な顔でだ。シュトックハウゼンは市場の楽しみも話した。
「それでは」
「そうですね。両親の土産物を買いますか」
「では。一緒に探しますか」
「シュトックハウゼンさんも何か買われますか」
「妻に。いつも買う様にしています」
「では。二人で探しますか」
「そうしましょう」
こう話してだ。そのうえでだった。
二人でその買うものを探すのだった。シュターゼンは市場も楽しみ旅の終盤を楽しんだ。
旅は彼にとってはいいこと尽くめで終わった。しかし旅は終わる時が来る。それが今だった。
帰りのドイツに向かう飛行機の中でだ。シュターゼンはこの時も隣にいるシュトックハウゼンに尋ねられた。その尋ねられたことはというと。
「どうだったでしょうか。この旅は」
「よかったですね。いい思い出になります」
「そうですか。それは何よりです」
「気分転換、いえ新生になりました」
席に座り満足した顔でだ。シュターゼンは言った。
「まさに」
「そうですか。新生ですか」
「心が洗われました、トルコで。それに」
「それにとは?
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ