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歌集「春雪花」
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 雨に酔い

  想いに泣きし

   空さみゝ

 わび濡れにける

    小夜の秋虫



 細々と降っては止む秋の雨…。

 夕には寂しさに酔い、夜には悲しみに泣くかのような…寒々とした空…。

 そんな心許ない空に、秋の虫はひっそりとしている…。


 まるで私のようではないか…そんなことを思う肌寒き夜…。



 しぐれ月

  衣重ねて

    寒空に

 ましたる想いそ

   うつしけるかな



 十月も半ば…連日の肌寒い日々に、上衣を一枚多く羽織る…。

 やはり…どんよりとした空は寂しく感じるものだ。秋も終わりに近づく時節は特に…。


 彼は…風邪など引いてはいまいか…。

 不意に訪れる感情は、私を深く悩ませる…。

 そんな想いをこの空は…写し取っているのかも知れない…。




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