第六章
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トルコを見ていく。そのトルコも見てだ。彼は笑みを浮かべてシュトックハウゼンに言った。
「噂は聞いていましたが」
「いい国ですね」
「イスタンプールの町もいいですが」
今は海を見ている。黒海をだ。
そのマリンブルーの何処までも続く海を見ながらだ。彼は言うのだった。
「こうした自然もいいものですね」
「そうですね。この黒海ですが」
「ここから北がですね」
「はい、ロシアです」
空と一緒になり白く消えているその水平線の先にだ。その国があるというのだ。
「ロシアがあります」
「そうですよね。それでも」
「今見ているものはですね」
「向こう側には何も見えないです」
「大海原ですね」
「そうですよね。ボンにいると」
内陸部のだ。そこにいるとだというのだ。
「川は見えますけれど」
「海はないですね」
「ドイツに海はあっても」
だがそれでもだというのだ。ドイツの海は。
「荒れた北の海か」
「バルト海ですね」
「バルト海のことは知らないです」
ドイツにあってもだ。シュターゼンはそちらの海は見たことがなかった。
「ですが北海は」
「こんなに落ち着いてはいませんね」
「こうした海もあるんですね」
その水平線を見ながらだ。シュトックハウゼンは言う。
「はじめて見ました」
「こうした海は他にもありますけれどね」
「黒海もですね」
「はい、この海もです」
落ち着いているというのだ。
シュトックハウゼンはその海を見ながらだ。また言うのだった。
「どうですか?この海を見ますと」
「はい、何か心が落ち着いてきますね」
自分の心もだ。そうなるというのだ。
「僕もそうなってきました」
「それは何よりです。では」
「それではですね」
「また。他の方とお話してみますか?」
シュターゼンに顔を向けてだ。シュトックハウゼンは述べた。
「今日も」
「はい、では」
シュトックハウゼンのその提案に応えてだ。そのうえでだ。
シュターゼンは笑顔で頷きそのうえでだ。そのマリンブルーの黒海を見ながら同じツアーに参加している若い女性の一人と話したのだった。
そうしたことを繰り返している中でだ。彼はさらにだ。
明るい笑顔になっていた。そうしてだった。
旅が終わりに近付く中でだ。泊まっているホテルで朝食を採りながらこうシュトックハウゼンに言った。
今彼等はドイツ風の朝食を食べている。トルコ料理にも飽きる頃だと思いシュトックハウゼンがホテルに用意してもらったものだ。そのメニューはというと。
パンにソーセージ、それにジャガイモのスープだ。ベーコンもある。
デザートに豊富なフルーツ
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