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歌集「春雪花」
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 ながらえば

  想ふ痛みの

   絶ゑ間なく

 追ふは夕影

   時はふりける



 こうしてただ生きているだけで…恋しさで胸は痛み、それは絶え間無く続いてゆく…。

 彼のいないここで、私は無意味に過ごし…無価値な自分に抗うように生きて…。

 それはまるで暮れゆく夕暮れのか細い光を追うようで…こうして虚しさの中で、ただ…老いてゆくのだろうか…。



 小夜更けて

  時雨し秋の

   わびし空に

 濡れし袖にそ

   想いしみける



 夜中になろう時刻…寒さを誘う雨が降ったり止んだりと…。

 月影も映さない侘しい闇は、寂しさを増すには充分と言えよう…。

 私は…彼に愛されることはない…。
 私は…彼に会う資格さえない…。

 何を心の拠り所としたら良いのだろうか…。


 不意に袖へと落ちた雨雫…洩れた想いが染みてゆく…。




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