偶像の黄昏
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者もとい科学論者の一元論として、『それ』は抽出されようとしているのだ。
「爆符、ペタフレア!」
「――そうはさせないよ!」
フランはすかさず拳銃を構え、銃口をお空に向けて引き金を引く。一発の銃声と共に銃弾は攻撃を溜めていた彼女の多角柱の砲塔の口に入り込み、そのまま機能を破壊させたのである。緻密機械そのものである多角柱は今に溜め込んでいたエネルギーを崩壊させ、呆気なく融解される。多角柱を嵌め込んだ右手は感覚を失い、機動が死を迎えた。一気に力が抜けたお空はそのまま冷たいコンクリートに跪く。多角柱の爆発こそは免れたものの、今にそれは使えない代物に成り下がってしまったのだ。
「――自由というただ一つの言葉だけが、今なお私を奮い立たせる全てであるのよ…」
霊夢が倒れ込む空を見て憐れんだ時、フランはお空の背中に何かがつけられていることに気づいた。それは今までとは形が違ったPDMであり、忽ち彼女は顔を顰めた。すぐさま言葉が口走る。
「もしかしたらあれがお空さんを洗脳しているのかも…!」
フランはそう予測を立てたが、黙っていないのがIDOLAであった。大事な門番を倒されたスーパーコンピュータはフランに向かって大きな手で叩き潰そうとする。その巨大な手は改めて見るに暴虐の王を模する権力の鏡であり、血と骨の境界に似た悍ましさは今に彼女たちを潰さんとした。
迫り来る鉄槌にフランは腰を抜かし、それをまじまじと見つめる事しか出来ずにいたのである。
「う、うわあああ……!」
逃げようとするが、体が硬直して思うように動かない。拳銃を落とし、尻餅をついては口を呆然と開く。不意に唾液が零れても、それを気にかける余裕は無かった。
「――そうはさせないわ!霊符、夢想封印っ!」
彼女の体から放たれた色彩豊かな光弾はフランを叩き潰そうとしたIDOLAの手に直撃し、IDOLAも攻撃の影響で動けなかった。恐らくはその図体故に隅々まで命令が行き届かないデメリットを抱えていた。幾ら攻撃反応が神経線を通じて命令を行おうとしても、結局は反動の一環に陥ってしまうのだ。
「図体は大きい癖して弱いのね、これで終わりにしてあげるわ!――博麗アミュレットっ!」
巫女は最後の仕上げに取りかかる。ここぞと言う間隙に彼女は座布団のような御札をIDOLAに向かって放ったのだ。それは尖槍が突き刺さるようで、繊細設計たるスーパーコンピュータにそれから守る守備力は存在し得なかった。今に食い込む札に、そこから電気が一気に漏れだした。人の血肉とも言える機動力が使役を受けない外の世界へと暴れ、のたうち回りながら逃走を図るのだ。今にそれらは『自由』を得た。因習主義から逃れ、更に権威的パーソナリティから逃亡する〈第三の逃走〉を行う彼らが消えた今、IDOLAの結末は一つ
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