暁 〜小説投稿サイト〜
TOHO FANTASY T
偶像の黄昏
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
円形のライトが痛く二人を照らしている。真下には赤と白が新印象派のような現代アートを描くGENESISがいた。
築かれたいタワーのような形から一本の巨大な手が生えており、ケーブルの根を生やしている。その手の5本の指は相変わらずうねうねさせており、気持ち悪さを連想させる。何度見ても嫌悪感を及ぼす、生理的に受け付けない見た目を誇っていた。その感覚はグロテスクな肖像が描かれる絵を見て嘔吐を齎す流れに相似していた。

「霊夢…これが…」

「そうよ。これがGENESIS:IDOLA…私たちが倒すべき相手よ!」

すると2人の前に何処からか姿を現した少女がいた。六角の型を施された鋼の多角柱を右手に取り付け、その弾頭を二人に見せつけていた。闇に染まりし右手の先端には巨大な穴が空いており、バズーカのような力強さを呈する。煤けた服に頭に付けていた緑色のリボンは少し黒みがかっており、やや薄汚れていた。尋常ではないくらい右目が真っ赤に染まっており、宵闇に灯る紅の月のように――孤独に内在する恐怖を少しづつ醸し出しているのだ。狂気的な眼差しは凍てつく光線と為り得て、それ伝に当てられる二人の背筋は不意に固まった。

「霊烏路空…どうしてここに!?」

「お空さん…」

2人はかつての仲間の登場に驚きを隠せない。彼女はその佇まいを神聖さに身を置いた。背景にある未知を借景して、その霊智を狂悖に委ねる姿は、二人を怯えさせるに恒等した。ただ神的な霊性を神々しく照らす天井の光は救済のアイロニーか。――理性の狂乱は神に似通い、冷静な懐疑は罪であった。その〈贖罪〉は力への意志によって果たされるのだ。

「…容赦はしないぞ」

お空は多角柱に力を込め、今に熱粒子が迸りを見せた。熱の勢いが多角柱からも溢れ出し、熱されるのが二人にも理解出来た。後ろのIDOLAも自身の中に置かれる監視カメラから姿を察知し戦う構えをとっていた。もはや一刻も憂慮は出来ない展開になっていた。
霊夢は苦々しい面構えをしながら、歯向かう存在に対して確固たる意思を差し向けた。飽くまでも理知的に生きようとする態度性に於いて、その姿は理性の鏡にどう映ったのだろうか?

「フラン、いくわよ。…確かに怖いかもしれないけど、これを乗り越えないと更なる恐怖が待ち受けているのよ。やるしかないわ」

―――少女は怖かった。だが、心の隅の勇気を引っ張りだして、彼女から事前に受け取った拳銃を構える。事前に銃弾を補充し、フランも小さな体を勇敢さに持っていった。何の躊躇も無く自己の力を放出しうるという快感と悪寒の二律背反する感情が鬩ぎ合う中で、愉悦や暴圧への『能動の彼岸』を肯定したのだ。根本機能に際する模倣行為の一つでありながら、今に彼女は格率として自律していた。――幸福の搾取と言うブルジョワ的な圧制へのプロレタリ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ