第五章
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「またそれは」
「シュターゼンさんから見れば年上ですね」
「ですね。確かに」
「それに美人ですよね」
「ええ、まあ」
少し戸惑った幹事でだ。シュターゼンは答えた。
「そうですね」
「ですよね。ですから」
「あの人とお話してみればというんですか」
「どうですか?これも神の配剤ですよ」
キリスト教徒としてだ。シュトックハウゼンはこう言った。
「あの人と少しお話をされれば」
「そうですね。それじゃあ」
「ええ。お話するだけでも悪くないと思いますよ」
「わかりました。それじゃそうさせてもらいますね」
「どうぞ」
シュトックハウゼンは笑顔になってシュターゼンを送った。そうしてだ。
シュターゼンはその秘書の美人とあれこれ話した。それは所謂世間話だった。それをしてからだ。
シュターゼンはシュトックハウゼンにこう言った。同じ席で昼食、軽いクスクスを食べながら。彼に対してその彼女とのやり取りを話すのだった。
「いい人ですね」
「そうですか」
「はい、しかも知的で」
「流石はチューリンゲン大学卒業ですね」
「そうですね。ただ僕はボンにいて」
それに対してだというのだ。彼女は。
「バイエルンですからね」
「距離がですか」
「はい、離れていますからね」
「だから交際はですか」
「できないですね」
このことをだ。シュターゼンは残念そうに述べた。
「ボンといってもですよ」
「バイエルンとはやっぱり距離がありますからね」
「バイエルンの。しかもです」
さらにだ。シュターゼンはクスクスを食べながらシュトックハウゼンに話す。
「ミュンヘンですよ」
「州都ですね、バイエルンの」
「はい、いい街ですけれどね」
だがそれでもだとだ。シュターゼンはやはり残念そうに言う。
「ボンからはとても」
「ミュンヘンはドイツの南にあって」
「ボンは西の方ですからね」
丁度ルール工業地帯にある。ドイツの北西部だ。
それに対してミュンヘンはドイツの南の端の方だ。距離はかなりある。だからだった。
「距離的に。無理ですね」
「ではあの人は」
「いい人ですけれどね」
それでもだとだ。やはり残念な顔で言うのだった。
「仕方ないですね」
「そうですか。まあとにかくですね」
「あの人とお話することはいいことですね」
「はい。どうでしょうか」
「そうですね」
少し考えてからだ。シュターゼンはクスクスを食べながら答えた。黄色い小麦粉をライスの様に置いたそのうえにソースをかけている。そのクスクスを食べながら言うのだった。
「それじゃああの人ともっとお話してみます」
「後は」
「後は?」
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