巻ノ百七 授かった術その二
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「悪しきものはない、既にその悪しき心は焼いたが」
「それでもですか」
「最初かわ僅かであった」
人にはどうしてもそうしたものがあるがというのだ。
「しかしそれもなくこれまでよりな」
「澄んで」
「よいものになっておる、若しあの時悪しき心が多ければ」
「あの炎に焼かれ」
「滅んでおった」
心ごとだ、そうなっていたというのだ。
「そして今もな」
「それを乗り越えても」
「余に見抜かれておった」
あらゆる魔を降す明王の棟梁である彼にというのだ。
「そうなっておった」
「左様でありましたか」
「お主のその心ならな」
「七曜の力を得ても」
「問題はない」
「悪しきことに使わぬと」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「それはないわ」
「そう言って下さいますか」
「余の目はあらゆる魔を見る」
そして邪をというのだ。
「だからな」
「おわかりになられて」
「そしてじゃ」
「降すと」
「そうする」
「しかしそれがしには」
「ない、その力を得よ」
七曜のそれをというのだ。
「必ずな、そしてじゃ」
「その力で」
「大事を為すのじゃ」
幸村にこうも言った。
「よいな」
「はい、それでは」
幸村も頷いた。
「そうさせて頂きます」
「修行はさらにきつくなる」
不動のそれはというのだ。
「ここでのな、しかしな」
「それでもですな」
「折れるでない」
「心が」
「その刀は心じゃ」
幸村が今持っているそれはというのだ。
「お主の心が折れればな」
「それで、ですな」
「刀も折れる」
「だからですな」
「決して折れるでないぞ」
「そして折れずに修行をすれば」
「備えることが出来る」
「その術を」
「だからじゃ、よいな」
「はい、これから何があろうとも」
「折れぬことじゃ」
修行の間というのだ。
「よいな、余の修行は厳しいが」
「耐えてみせます」
「その意気じゃ、お主が七曜を入れられる器になれば」
修行を経てというのだ。
「その時こそな」
「七曜の術もですな」
「備えられる、よいな」
「わかりました」
幸村も頷いた、そしてだった。
そのまま不動に修行をつけてもらっていった、休む間もなくしかも飯も水もなく気が遠くなるだけの時を修行していた。
しかし幸村は倒れない、それが何故か彼もわかった。
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