0188話『狭霧と磯風の関係』
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だす。
「炭を焚いていってよく火が通って来ましたらそこで初めて秋刀魚を乗せるんですよ」
「なるほど……」
「あと、風よけとかもあったら用意した方がいいですね。風でせっかく焚いた火が散ってしまうと秋刀魚が生焼けしてしまいますから」
そう言って狭霧はどこから取り出したのか小さい風よけの囲いを用意して七輪の周りに置く。
これによって七輪の火の弱まりを防げるのである。
「ふむふむ……参考になるな」
「はい……」
「そして次に注意しないといけないところは火加減の難しさです。生焼けでもダメですし焼き過ぎても炭の味になってしまいますから。磯風さんの焼いていた秋刀魚がその炭の味というものになっているんですよ?」
「そうか……私のは焼き過ぎだったのか」
磯風は初めて指摘された事に対して反省点などを考えている。
磯風も料理音痴とはいえ馬鹿ではないので反省する点は反省できるのだ。
だから狭霧の話を真剣に聞いていた。
松輪は松輪で「(狭霧さん、教え上手です……)」と思っていた。
「それでは後は焼けるのを待ちましょうね。ほんのり焦げ具合が出てきましたら裏返してそちらも同じ感じに焦がしていきます」
狭霧の焼いていた秋刀魚の焦げ具合といえばいい感じにきつね色になってきていた。
「あと、ここでも注意する点と言えば秋刀魚の脂が七輪に零れると火柱が上がってしまってやっぱり焼け過ぎのもととなりますので注意深く見て行ってください。
もしそれでも火柱が上がったら秋刀魚の位置をずらしてその火柱に当たらないようにしてくださいね」
「了解した」
「とても美味しそうです……」
「最後にちょっと焼け過ぎって具合の感じが出てきたら七輪からどかしてお皿に乗せると完成です」
狭霧はそう言ってお皿に出来上がった焼け秋刀魚を乗せた。
そのあまりの出来具合に思わず磯風は「おおー」と感嘆の声を上げて、松輪は「ゴクリッ……」と唾を飲み込む。
「どうでした? 私も秋刀魚焼きは初心者な方ですからあまりうまくは出来ていないかもしれませんけど……」
「いや、狭霧よ。いい勉強になった。私の焼いた秋刀魚と見比べてみれば一目瞭然だな。なぜか私が秋刀魚を焼くと七輪も壊れていたのはそれが原因だったんだな……」
「へー、そうなんですか……って、いえいえ!? 七輪が壊れるっていうのはどういった状況でしょうか!?」
思わず流しそうになってその異常性に気づいて狭霧はツッコミを入れる。
それに対して「なにか変か?」と言わんばかりの表情をする磯風に狭霧はこれは重症かもしれない……と悟って、
「磯風さん、今度から私が料理の指導をしましょうか……? 未熟者ですけど未熟なりに教えられることもあると思うんです」
「いいのか?」
「磯風さんさえ良ければですけど…
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