第百二十三話 ヘボ詩人頑張るか?
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ません、神聖な決闘ですが、シェーンヴァルト男爵の腕の未熟さを憂いたのです」
キルヒアイスもアンネローゼとラインハルトを守る為には、多少ラインハルトを貶しても守るためと割り切ったが、言われたラインハルトにして見れば、面白くない状態である。
隊長が何か言おうとしたが、其処へ1人の中佐が現れ、キルヒアイスに話しかけて来た。
「キルヒアイス少佐、卿は心配性過ぎたな」
「貴方は」
話しかけて来たのは、ラインハルトに火薬式拳銃の撃ち方をレクチャーしてくれた、ルッツ中佐であった。
「ルッツ中佐何故此処に?」
隊長達が慌ててルッツに敬礼を行っている。
「いやな。弟子の晴れ舞台を見に来ないわけにはいかんからな」
ルッツの言葉に緊張感のあったこの場所に若干の安堵感が流れる。
「中佐殿、キルヒアイス少佐は、どうなさいますか?」
「うむ、少佐の言って居る事は本当だな、しかし少佐、余りにも迂闊だぞ、気を付ける事だ」
「申し訳ありません、中佐殿」
「ああ」
「中佐殿、キルヒアイス男爵の処遇は?」
「普通に武器を預からして貰って、他の連中と一緒に暫く禁足で待って貰うことにしろ」
「はっ」
キルヒアイスとラインハルトにしてみれば、ルッツがここに来たのも不思議であるが、何故SPにテキパキと指示を出せるのかも不思議であった。
実際にレクチャーを受けた後で、ラインハルトの野望のために人材を調べているキルヒアイスは、ルッツ中佐の所属や経歴を調べて居たのであるが、皇女の侍従武官であるとの記述はものの見事に記載されておらず、優秀な人材であるとしか判らなかったのである。此もテレーゼの差配によるもので有ると悟らせない為であった。
「ルッツ中佐、キルヒアイスを助けて頂き、申し訳ない」
ラインハルトもお礼を言っているつもりなのだろうが、些か敬語が成っていない。
「気にせんで良いよ。此も仕事の一環だ」
ルッツの言葉に2人の顔に疑問が起こる。
「今、小官は皇女殿下の侍従武官をしていてな」
その答えに、2人の顔色が変わった。
ラインハルトは、あの小娘に優秀な人材を奪われたという感覚と、小娘のお陰でキルヒアイスが助かるのかという複雑な心境が蠢いていた。
キルヒアイスは、自分の浅はかな対応を、ルッツ中佐によりすくわれた事と、その様な事をして、ルッツ中佐が咎めを受けないかと心配をしていた。此処がキルヒアイスの優しい所で美点であり、命取りになりかねない欠点でもある。
「ルッツ中佐、小官を開放して中佐の責任にお成りになるのでは?」
「心配して貰って恐縮だが、此は殿下もご承知の事でな。大丈夫だ」
「殿下が・・・」
殿下が承知の言葉にラインハルトはあからさまにいやそうな顔をし、男爵夫人は流石テレーゼと安堵し、キルヒ
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