ペルソナ3
1847話
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
かって拳を放つ。
きちんと構えている状態から打った訳ではない為か、最初のジャブと比べると速度は劣る。
だが、真横にいる俺目がけ、視線を向けもせずに打ってきた一撃だけに、意表を突くのは十分だった。
その一撃を回避しながら、軽くプロテクター……だったか? 頭部を守っているその上から叩く。
当然かなり力を加減しての一撃だったので、真田が吹き飛ぶような事はない。
しかし、そうして頭部に触れられた事そのものが真田にとっては許せない出来事だったらしく、半ば意地になって俺に拳を放ってくる。
拳の勢いはそれなりなのだが、放たれる一撃の精度が甘い。
頭に血が上ったのか、それとも1発でも多くのパンチを俺に放とうとして精度が落ちたのか。
その理由は分からなかったが、それでも俺の意表を突くという点ではそれなりに効果がある。……あくまでもそれなりだが。
本来ならこっちに打ってきた真田の手首を掴み、そのまま投げ飛ばすという選択肢もある。
だが、今回はあくまでもボクシング部の活動の中で行われている模擬戦……スパーリングである以上、こちらもそのルールに合わせる必要がある。
なので、こちらに向かって放たれた真田の拳を回避しながら、背後に下がる。
丁度俺のすぐ前を通りすぎていく真田の拳。
ボクシング部の部員からは、惜しいといった声が漏れ聞こえる。
いやまぁ、傍から見れば惜しいと感じても仕方がないようなやり取りだったが……
その後も何度となく俺に向かって拳を放ってくる真田だったが、その攻撃のことごとくを、俺は回避していく。
自分の攻撃が一切当たらない模擬戦。
普通であれば、やる気がなくなってもおかしくはないだろう。
だが、真田は……
「ちぃっ!」
己を叱咤するかのように鋭い舌打ちをすると、更にこちらに向かって攻撃を繰り返してくる。
しかし、その攻撃は俺に当たるようでいて、当たらない。
次々に放たれる攻撃が一切命中せず……この頃になると、ボクシング部員の口から出ていた、惜しいというような声も聞こえなくなる。
皆、この模擬戦を繰り返す中で理解したのだろう。真田の攻撃が惜しいところで回避されているのは、俺が意図的にそうしているのだと。
そのまま時間が経ち……カーン、という金属音が周囲に響く。
その音と共に真田の身体から力抜け、少しだけ荒くなった呼吸を整える。
1ラウンド、3分だけしか行われていない模擬戦だったが、真田は空振りを続けた。
攻撃が空振りするというのは、予想以上に体力を使う。
もっとも、真田も影時間にシャドウとの戦いを繰り広げてきた男だ。
この程度の肉体的な疲労は、そこまで堪えるものではない筈だった。
だが……今回の場合、どちらかといえば肉体的な疲れより、精神的な疲れ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ