ペルソナ3
1847話
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「ああ、頼む」
真田にこうまで言われて断ったりすれば、間違いなく周囲から面白く思われない。
かといって、真田を圧倒的に倒すというのも、真田本人にとってはともかく、そのファンやボクシング部の部員にとってはおもしろくないだろう。となれば……
「分かった。ただ、今日はこの前とちょっと条件を変えるぞ」
「……条件を?」
「ああ。具体的には、俺がリングの中を逃げ回るから、俺に攻撃を当てられるかどうかだ。俺からは攻撃しないから、攻撃されるかもしれないということは気にせず、思う存分攻撃を仕掛けてくればいい」
逃げ一辺倒だと最初に宣言しておけば、真田のファンやボクシング部の部員であっても俺を責めるようなことはしない……筈。
少なくても、俺が真田を攻撃するよりは随分とマシになるのは間違いない。
こういう奴等に責められると、後々ちょっと面白くない事になったりしそうだしな。
いや、俺だけならともかくとして、ゆかりや桐条といった面子にも迷惑を……どうだろうな。
ゆかりも桐条も人気が高い。
そんな連中に迷惑を掛けるような真似をした奴がいた場合、そいつは間違いなく酷い目に遭うだろう。
そうならない為にも、俺がやるべきなのはこの場を何の問題もなく乗り越える事か。
幸いにもと言うべきか、真田も俺の言葉に反対ではなく、ある程度やる気になっている。
もし俺が攻撃してもいいという事になれば、どのみち真田には取る手段がない。
であれば、俺の提案に乗って回避に専念する俺に攻撃を当てる事に専念した方がいいという、そんな判断なのだろう。
「分かった、それでいい」
真田は彼我の実力差を理解しているから、あっさりと俺の言葉を了承した。
だが、それを分かっていない者達にしてみれば、その言葉は意外でしかなかったのだろう。
周囲から驚愕の視線を向けられたまま、俺と真田はリングで向かい合う。
既に気絶した大渡はリングから下ろされている事もあって、現在リングの上にいるのは俺と真田の2人だけだ。
そして、お互いに準備が整ったと判断したのだろう。
やがて真田は、特に何の合図もなく俺との間合いを縮めてくる。
「シュッ!」
鋭い呼気と共に放たれたのは、ジャブ。
格闘技の中では最速のパンチと呼ばれているそれが貫いたのは、俺が一瞬前までいた空間にすぎない。
ジャブが放たれた瞬間、俺は既にリングを蹴って真田のすぐ横に向かっていた。
瞬動とかを使えば一瞬で移動出来るのだが、まさか一般人が多いこの場所でそんな真似をする訳にもいかないだろう。
そう判断しての行動だったが、真田にとってはそのくらいの速度であれば目で追うくらいの事は容易に出来たのだろう。
ジャブを打った手を戻し、そのまま自分の右隣にいる俺に向
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