34 来客(ながさわきょうだい)
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なのにどうしてお兄さんの方は中が悪いのかしら?」
リリィは気になった。
「ふん、リリィはわかっていないな・・・。あいつは生意気なんだよ」
永沢はそっぽを向いて言った。
「リリィ、永沢のことはほっといていいよ」
とし子が心配そうに言った。
「え、うん、そうね・・・」
曲を弾き終えると、城ヶ崎は今度は太郎を鍵盤に触らせた。
「太郎君、上手くなったわね」
「あー、あー」
城ヶ崎は以前、太郎におもちゃのピアノをあげた事があった。そのため、太郎がそのピアノを使ってくれていることが分かった。
その時、永沢が立ち上がった。
「城ヶ崎、もういいだろ。太郎に聴かせてやったならそれでいいだろ。ほら、返せよ」
永沢は乱暴に城ヶ崎から太郎をひったくって帰ろうとした。ところが・・・。
「うわ、うわーん!!」
太郎が泣いてしまった。
「太郎、泣くなよ!」
「アンタが乱暴につかんだのが悪いんでしょっ!」
「うるさい!太郎は僕の弟だぞ!君に文句言われる筋合いはないね!」
「あ、あー!」
太郎は泣きながら城ヶ崎の方に手を出す。
(せっかく城ヶ崎さんの家に遊びに来たのに、こんな厄介ごとになって・・・。それに太郎君も可愛そうだし・・・)
リリィはそれを見て何かを考えた。
「そうだ、あの・・・」
リリィが口を開いた。城ヶ崎と永沢がリリィの方へ顔を向けた。
「リリィさん、どうしたの?」
「何だよ?」
「あの、折角だから永沢君も一緒に遊んで行ってもいいんじゃないかな?太郎君ももっと城ケ崎さんと遊びたがってるようだし・・・」
リリィは却下される覚悟で提案した。
「ふん、余計なお世話だね!」
永沢はきっぱり断った。
「太郎を君たちのおもちゃにされてたまるか!それじゃあ、僕はこれで失礼・・・」
「うわーん、うわーん、うわーん!!」
太郎が大声で泣いた。
「やっぱり太郎君ももっとみんなと遊びたいのよ!」
リリィが永沢に説得するように言う。
「う、うるさいな!」
「永沢、アンタ一々文句言うんじゃないよ!アンタそれでも太郎君のお兄ちゃんなの!?」
まる子も怒る。
「う・・・、それは・・・」
「なら、太郎君にもう少し遊ばせてあげなよ!」
まる子の加勢でリリィは救われたような気分になった。
「わかったよ・・・」
永沢が根負けした。こうして永沢兄弟も遊ぶことになった。
城ヶ崎は再び太郎とピアノで遊んでいた。だが、太郎も飽きてしまい、他の事がしたくなったようだった。
「せっかくだから、太郎君も入れて遊びたいわね」
城ヶ崎が言った。
「永沢、何かないの?」
まる子が永沢に聞く。
「そうだな・・・。散歩してやった方がいいかな・・・」
「じゃあ、皆で外に行こうか。何か面白いこともあ
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