ペルソナ3
1846話
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だから、正確には同学年とは言えないが。
いや、元々20代なんだから、どちらかと言えば鳥海の方が年齢は近い筈だ。
「ん? 何がだ?」
「何でこんな奴と戦った方が、練習試合よりも得られるものが多いんですか!?」
全く納得出来ませんといった表情の男だったが、真田は特に気にした様子もなく口を開く。
「当然だろ。アルマーは俺が本気で戦っても手も足も出なかった相手だ。今の俺の目標と言ってもいい。そんな相手と戦ってこそ、得られるものは多い」
ざわり、と。
部室の外から見ている真田のファン達、そして部室の中で訓練をしていたボクシング部員達。
その双方が、今の真田の言葉を聞いてざわめく。
「そんな……嘘だろ? 真田先輩が手も足も出ないで負けた?」
「何か卑怯な真似でもしたんじゃない?」
「いや、でもそれなら真田先輩が、あそこまであの人を持ち上げる訳はないんじゃない?」
そんな風に話しているファン達の声。
だが、そちらとは裏腹に、ボクシング部員の俺を見る目はかなり厳しい目となっていた。
当然だろう。真田というのはボクシング部にとって、象徴的な存在だ。
それだけに、真田が手も足も出ずにやられたという話を聞けば、黙っていられる筈がなかった。
「あー、真田その辺にしておいてくれ。訓練に付き合おうとも思ったんだが、残念だけど今のこの状況だととてもじゃないがそんな事は出来そうにないな」
明らかにボクシング部員の俺を見る目が剣呑な色を帯びている。
勿論実戦も何も経験した事のないような相手からの視線である以上、俺から見れば子犬がじゃれているようにしか見えないのだが……それを口にすれば、間違いなく厄介な出来事になるだろう。
「は? どういう意味だ? それより、俺と模擬戦をやってくれないか? ここ数日、身体の調子が結構いいんだ。今なら、アルマーに攻撃を通す……のは無理でも、触れる事は出来るかもしれない」
「あー……うん。ちょっと黙ろうか」
既に周囲の者達の俺を見る目は、色々な意味で凄い事になっている。
驚愕が最も多く、それ以外にも敵意や嫉妬、羨望といった色を浮かべている者もいた。
「うん? 何かおかしな事を言ったか? それより、頼む。今の状況でなら……」
「真田先輩! 冗談は止めて下さい!」
そう言ったのは、さっき真田に向かって聞き逃せないとか何とか言っていた奴だ。
ボクシングをやるのに相応しい気の強さ、我の強さを持っているらしく、俺を睨み付けていた。
プリントを渡した男が柔らかな態度だったのでちょっと驚いたが、ボクシング部の部員って言えば、やっぱりこんな感じのイメージだよな。
「何なんだ、お前はさっきから」
その男に対し、不満そうな視線を向ける真田
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