第二十三話 堺の街その十二
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「上半身は女、下半身は蛇だな」
「そうでござる」
「そしてその身体がとてつもなく長い」
「人の血を吸うでござる」
「所謂吸血鬼だ」
日本にも吸血鬼がいるということの証左の妖怪でもある、そしてこの東の島にもいるというのだ。
「それもいるか」
「濡れ女はかなり強いでござる」
「身体が長いだけにか」
「泳ぎも達者でござる」
「そうだな、しかしな」
「出会ったら倒すでござるな」
「そうする」
自信に満ちた返事だった。
「絶対にな」
「自信もあるでござるな」
「そうだ、そしてだ」
「そして、でござるか」
「巨人も出るな」
このことをだ、英雄は正に淘汰。
「そうだな」
「そうでござる」
「やはりな、巨人も倒す」
その彼等が出てもというのだ。
「同じだ」
「濡れ女よりも強いでござるが」
「戦ったことがあるか」
「一度。死を覚悟して勝ったでござる」
「俺も勝ってきた、あの時は二人だったが」
正を見てだ、こうも言った英雄だった。
「今も二人だ、そして三人四人となっていく」
「だからでござるか」
「大きいだけの奴なぞ何ということはない」
こうまで言ったのだった。
「こちらには知恵がある、武器だけでなくな」
「その二つも」
「ある、だからだ」
「勝てるでござるか、巨人にも」
「そうだ、巨人にも勝つ」
「では」
「まずは都だ」
「そこにでござるな」
「行くぞ」
「どういった魔物が出ても」
「倒していく」
「それでは」
二人で話してだ、そしてだった。
二人は都への旅をはじめた、正は土の道を進みながら共にいる英雄に対してこうしたことを言った。
「都にはかつて将軍がおられたでござるが」
「今はか」
「おられなくなったでござる」
「下剋上か何かで死んだか」
「そうなったでござる」
「そうか、それでか」
「そして我々の世界とは違っててござる」
正はこうも言った。
「帝はおられないでござる」
「そこは俺達の世界とは違うか」
「そうでござるか」
「皇室の方々がおられないとな」
どうしてもというのだ。
「違うと思えるな」
「皇室がおられるからこそ日本でござるな」
「そうだ」
その通りだとだ、英雄は正に答えた。
「まさにな」
「拙者も同じ考えでござる」
正も英雄に同意であった、それも完全に。
「我等の世界の日本が日本であるというのは」
「文化や宗教等であろうなっているが」
「やはり根本にはです」
「皇室がおられる」
「そのことは否定出来ないでござるな」
「どうしてもな、祖父様によく言われている」
つまり今もというのだ。
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