第二十三話 堺の街その十
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「特に」
「そうか」
「左様、では」
「俺も名乗っていなかったな、時任英雄だ」
英雄もここで名乗った。
「宜しくな」
「こちらこそ」
「それではな、旅をはじめるか」
「堺を出てまずは」
「都に行く」
そこにというのだ。
「まずはな」
「そうされるでござるか」
「都に二人目、三人目がいる様だ」
だからだというのだ。
「次はそちらだ」
「都に行かれて」
「そこで新たな仲間を加える」
それを目的としてというのだ。
「行く」
「そうされますか」
「そうだ、そして」
「そして?」
「十二人揃えるが」
それだけではないという口調での返事だった。
「しかしその途中機会があれば」
「その時は」
「領地も手に入れる」
「そうされますか」
「そうも考えている」
「機は逃さぬ、ですな」
正は英雄の言葉を受けて述べた、
「そうしていって」
「この島を統一するぞ」
「そうしますか」
「そうじゃ、行くぞ」
「それでは」
正も頷いて応えた、そしてだった。
二人は束原に別れを告げて道場を後にした、その時に束原は二人に微笑んでそのうえで言った。
「またな」
「はい、何かあれば」
正は確かな笑みで師に応えた。
「またこの道場にですな」
「来るといい」
「そうしてそのうえで」
「頼ってくれ、お主達は孤独ではない」
「師匠の様な方がおられる」
「人は時として一人、若しくは自分達でことを為さねばならん」
この節理もだ、束原は話した。
「しかしな」
「それでもですな」
「頼れる者がいればな」
「そうした場合は」
「頼りたい時は頼るのもよい」
「どうしようみない時は」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「だからな」
「さすれば」
「わしはここにおる」
常にというのだ。
「だから迷った時、困った時はな」
「また来てですな」
「話し頼るのじゃ」
「わかり申した、それでは」
「またな」
「はい」
正が応えてだった、そのうえで。
英雄と彼は旅に入った、だがその旅をはじめ馬そして驢馬と一緒になったところで英雄は正にこうしたことを言った。
「馬がもう一頭必要だな、驢馬もな」
「それがしの分もですか」
「西の島で多くのモンスター、こっちの世界で言う魔物を倒してきた」
「それで銭はですか」
「充分以上にある」
だからだというのだ。
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