第50話 穂乃果と大地、交わされた約束
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れて行ってもらえるのか心配そうに眼をうるうるさせて、俺から視線を外そうとしない。その姿が、散歩に行きたいのに飼い主が連れて行ってくれなくて、耳を垂らして、尻尾もしゅんとしている子犬のように見えてしまった。
「(くそ、可愛いなおい……)」
当然、罪悪感を覚える。しかし、だからと言って急に押しかけて来ていい理由にはならない。主にお財布の都合というものを考えて欲しかったところ。まぁ、穂乃果が都合を考えて行動していたら逆に”らしくない”な、とは思うだろうけど。
「そういえば約束したなー。二人で水族館行くって」
「絶対今まで忘れてたでしょ?」
「忘れてないって、お金がそんなに無いからある時に誘おうと思ってたの」
「ほんと〜?」
「ほんとだ」
「ほんと?」
「しつこい、ホントだってば」
嘘。
走馬灯が駆け巡ってこなかったら間違いなく忘れてたと正直に言って、我が家が朝から血に濡れていただろう。それだけは避けたかった。
「まぁいいや!それでねそれでね!今こんなキャンペーンやってるんだって!」
「んー、学割?二人以上で入場される学生は半額、とな。大きく賭けにでたなぁこの水族館は」
「よくわからないけど、これ使えば大くんのお財布は救われるよ!ね!ね!」
「お前俺の財布事情知っておいて今日誘うとか鬼だな」
「で、行くの?もちろん行くよね?」
とはいえ、確かに学割使ってこの価格は非常にありがたい。
本来ならばこのまま穂乃果を無視して二度寝を決め込み、起床次第で日課である勉学に励むところだが。何を思ったのか、たまには穂乃果の誘いに乗って気分転換するのも悪くないと考え、ベッドから抜け出す俺がいた。
〜☆〜
───某県某市の有名水族館に足を運んだ俺と穂乃果。
ついて早速だが、問題が発生した。
いいや、問題といっても穂乃果にとっては些細なことらしく、俺にとっては重要な問題が水族館受付お姉さんを前に立ちはだかっていた。確かに家でパンフレットをもっと注意深く見ておくべきだったと思う。が、そもそも穂乃果が持ってきたのだから穂乃果自身知っていてもおかしくないのだ。
つまりは……
「知ってな穂乃果。知ってて黙ってたな?」
「な、なんのことかなぁ?」
穂乃果は基本的に嘘をつくことが苦手だ。その証拠に声は震えているし、視線だってどこか遠いところに向いているのだ、。これで『はい嘘ついてません』だなんてありえない。
「おっま、これどうすんだよ……」
現在俺と穂乃果の前に立ちふさがる超難問題。それは”学割期間が終了している”ということだ。そうなると、俺たちは通常料金を払うことになり、
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