第50話 穂乃果と大地、交わされた約束
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れない。
「……ならビリビリに破って捨てるだけで許してあげる」
「ちょっと待て。それは許した時の処分にはならない」
「……」
「おい待て。何故おもむろにハサミを取り出すんだ!!」
「じゃあ許さなくても粉々にして捨てる!!」
「それどちらにせよ捨てるのかよ!!!」
直後にハサミを持つ穂乃果の右手が運動を始めて俺の数少ない宝が二冊に増える音がした。『ジョキジョキ、ジョキジョキ』と。
二冊どころではない。三冊四冊と面積自体は小さくなるものの、数だけは増えていく光景だった。
「ああああああああああああっ!!!!!!!」
絶望の絶叫が轟く。
ごみ箱へどんどん積み重なるチリとなった元俺のお宝の亡骸を脳裏に思い浮かべ、穂乃果は満足げに胸を反らしてハサミをしまう。いつでもハサミを持ってるのだろうか、と彼女のバッグの中身が非常に気になってしまった。
「はぁ……ったく、朝から何なんだよ。まだ7時半だろ?何しに来てんだよ」
「デート行こう!!!」
「……でぇと?」
「そう!デート!!」
急に何を言い出すのか、突拍子もなく穂乃果はカバンの中からどこかのパンフレットを取り出す。それはここから少し離れたところにある有名な水族館のパンフレットだった。
「……水族館?」
「そう、水族館だよ!大くん前に約束してくれたよね!忘れたとは言わせないよ!」
「約束?水族館?はて、一体なんのことか───」
直後、俺の脳内を走馬灯の如く駆け巡るここ数週間の出来事。
別に死を悟ったわけでも無く、突然流れる記憶の数々の中から少しずつ約束というものを紐解いていく。
一つ目、UTXでのライブ───違う。
次、森合宿で真姫と会話したこと───違う。
次、ことうみまきの大脱走───違う。
次、穂乃果と我が家での夕食───これも違う。
次、A-RISEとμ`sの初対面───全然違う。
次、花陽との和解───そもそも穂乃果関係ない
「(じゃあ……)」
そう考えた途端、ある出来事に思い当たる節があるのを思い出した。
ここ連日の余計なアクシデントの発端となる未遥との口論、そしてその事を相談したのは───穂乃果。
そして……その相談場所は───穂むらだ。
俺は言った。『今度お礼がしたいんだ、何がいい?』と。そしてその質問に対して穂乃果は何と答えたか……。
俺の記憶に間違いなければ穂乃果はこう答えた。『水族館に行きたいな』、『2人で」と。
俺は、一度考えるのを止めて深呼吸をする。一度、二度、三度……脳がクリアになったところで更に視線を穂乃果に向ける。彼女は、本当に連
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