第四章
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レントゲン撮影の結果が出てすぐにだった。彼は診察室において顔面蒼白になった医師にこう言われたのだった。
「すぐに手術をしましょう、危険です」
「手術!?しかも危険とは」
「虫ですよ、これ」
医師は顔を青くさせているだけでなく声も強張らせていた。
「物凄く危ないですよ」
「虫!?まさか」
「はい、寄生虫です」
これは池山が予想した通りの返答だった。
「それですよ」
「寄生虫って」
「はい、詳しい話は後ですが」
診察室の独特の白い蛍光灯により照らされているボードにレントゲン写真をかけてその写真を見ながらだ。医師は言う。
「とにかく。手術をして虫を取り除かないと」
「危険ですか」
「はい、ではすぐに手術をしましょう」
こうしてだった。診察からすぐに手術になってだった。
池山は虫を取り除いた。その手術の後に彼は医師にこう言われた。
「あれは魚の寄生虫ですね」
「魚ですか」
「しかも日本にはいないものです」
そうした虫だというのだ。
「熱帯の川魚のものですね」
「熱帯っていいますと」
「心当たりありますね」
「はい」
その通りだとだ。池山も答えた。
「この前テレビの取材でアフリカに行きましたが」
「アフリカですか」
「はい、ザイールで」
「ああ、熱帯ですね」
「そこで肺魚を食べたんですが」
「絶対にそれですね」
確信した声でだ。医師は彼に答えた。
「間違いなく」
「そうですか。ですが」
「ですが?」
「生では食べてないですよ」
池山はこのことは断った。それはしていないとだ。
「だって。川魚ですし」
「熱帯のですからね。しかも」
「如何にもって思いましたし」
「火を通して食べられたんですね」
「はい、そうしました」
このことは間違いないというのだ。
「本当に気をつけました」
「そうですか。ですが」
「ですが?」
「多分。火を通すのが不十分だったんですね」
医師は池山が寄生虫に襲われた理由をこう推察した。
「それでなんですよ」
「火を通してもですか」
「本当にじっくりと熱さないと死なない寄生虫もいまして」
「そうなんですか」
「はい、そうです」
「それはわかりました。ですが」
それでもだとだ。池山は首を捻りながらこうも言った。
「あれですよ。僕は確かに虫にあたりましたけれど」
「それでもですか?」
「他のスタッフにはそんなことはないですけれど」
「あっ、そのことはですね」
どうして彼だけが虫にあたってしまったのかもだ。医師は彼自身に答えた。
「わかります」
「どうしてなんですか?」
「池山さ
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