空想の世界
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毎日必死に頑張って撒いて水を与えて大事に育てていた種
でもその種は目が出る前に刈り取られてしまいました。旧友の手によって。
また一人ぼっちになってしまったわたしは逃げました。
―だって此処 教室にいたって辛い事しかないから
目を閉じて 耳を塞いでいても 聞こえてくる 雑音。ヒソヒソと小声で話しているつもりだろうけどその声は全てわたしの心に無数の刃となって突き刺さっています。
―痛い。痛いです。お願いですからやめてください。
どんなに心の中で強くお願いしても 聞き届けてもらえませんでした。
だからわたしは逃げ出しました。何処でもいい。此処じゃない場所なら何処でもっ
校舎内。
校内。
意味もなく。目的もないまま歩き続けます。彷徨い続けます。
―ここは何処?
通っていた小学校よりもずっと大きな中学校。まさかの迷子になってしまいました。
辺りを見渡しても木しかありません。上を見上げても緑の木の葉と青い空しかありませんでした。
どうしよう……とまたあてもなく彷徨い歩いていると校舎を見つけました。
古びた木材で出来た校舎。もう何年も使われていないのかな あちこち穴が開いていたり 苔やつたが絡みついています。
―耳をすませば 遠くの方から生徒達の楽しそうな笑い声が聞こえてくる。暑い夏が始まったことを告げる蝉時雨。
此処でならゆっくりと出来るかもしれない。と考えたわたしは旧校舎に入って行くことにしました。
中は思っていた通りのボロさであちらこちら床が抜けています。木の床は一歩足を踏み出すたびに、ギィと音をたてて今にも抜け落ちそうで怖いです。
とりあえず手短にあった空き教室に入って、放置されていた椅子に座りました。
―ふぅ。やっとこれで一息つける。
そう。思っていたのに
「先客ですか〜珍しい」
誰かが入って来ました。茶色い髪を少し遊ばせたような、ただの寝ぐせのような男の子でした。
背は小さく童顔なのでわたしよりも上なのか同い年なのかよくわかりません。
「何をしているんですか〜?」
それはこちらの台詞です。と、思ったけど初めてあった男の子にそんなことを言う勇気なんてものわたしはありません。
無言で下を見つめます。それを彼はどう捉えたのかは分かりませんが
「あぁ。いきなり名乗りもせず質問とは〜失礼でしたね。僕のことはチェシャ猫とでも呼んでください〜」
―チェシャ猫? アリスの?
「そうですよ〜」
自分の事をチェシャ猫と呼んでなんて変な子。まあ確かに猫みたいな瞳は猫っぽいですが…。
彼は一人でペラペラ話します。饒舌な人。お話に興味なんてないのに、彼から目を離せない。ずっと釘付けで耳を傾けて聞きいれてしまいます。まるで夢でも見てい
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