第三章
第三章 大都市で起きた不可解な事件
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面と向かっていいなさい」
と怒られて「はひっ!!」と柱の後ろから出て来るが…
「………ッ」
また顔を林檎のように真っ赤に染め。柱の後ろに隠れてしまった。その光景を見て紫龍ははぁ〜〜と大きなため息をつき申し訳なさそうな顔で苦笑いし頭を軽く下げた。
ルシアは軽く苦笑いすると、彼女が隠れる柱の方へと近づいて行き優しく声をかけた。
「僕も初めて会う人の前では緊張してしまう方なんです。だから気にしなくていいですよ」
ルシアに真正面から見つめられて彼女の顔は林檎を通り越して沸騰した湯のようだ。耳まで真っ赤にして頭からは湯気が立ち上っている。「はぅ〜〜」と力なく息を吐くとその場にへたり込んでしまった。
はぁ……とため息をつきやれやれといった感じで首を振ると、紫龍はへたり込んでしまった彼女に手を差し出し立ち上がらせて改めてルシアの方を向いて
「ムラクモはこんな恥ずかしがり屋で役立たずのように見えますが。腕は確かなのでご安心ください」
皮肉ととらえていいのだろうか、そう言うと「それでは行きましょうか」と駅を出てすぐに止めてあった黒いリムジンにまでエスコートしてくれた。この間柱の後ろに隠れていた彼女はずっと、どこかに隠れながらルシア達の跡を付いて来ていた。その光景に思わずくすりと笑いがこみ上げる。
「おーーリムジンだー! すげー!」
「こらっ。はしゃがない」
これは何メートルあるのだろう。横に長い黒色のリムジンに大興奮のランファを嗜めつつ、ドアを開けてどうぞと言っている紫龍に誘われるがままに乗り込んでみる。
さすが貴族様の車だ。仲は普通の車とは大違い。車内の内装がプラネタリウムになっているのだ。薄暗い車内にやんわりと光る星。
椅子も車に対して横ではなく縦に設置されており、皆で並んで座れるようになっている。冷蔵庫も完備しているため、飲み物も飲み放題らしい。……さすがに遠慮させていただいたが。
ランファにとってこのリムジンの中は遊び放題の空間らしい。遊ばせないが。絶対に。
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