???第二章 汚された草競馬大会-終-?
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波乱に満ちた競馬大会が終わった。灰色の馬に乗ったマキビシを巻いてシルとシルビアを退場させた男こと悪逆非道の王と呼ばれたパルスを追い抜き勝利を掴みとったルシアとフレアが自信満々の誇りに満ちた顔で宿へ帰ってきると――
――パンパンッ
「「「おめでとう!!」」」
「みなさん…」
帰って来てすぐクラッカーが鳴らされる。辺りを見渡すとランファ、シレーナ、宿屋のおばさんはもちろん、宿屋に泊まっていた他のお客さん、おばさんの親戚&お友達とご近所さん総出でルシアの優勝おめでとうパーティーを開いてくれていたのだ。
「おめでと―! ルシアー!」
「…おめでとう」
「おめでとう。ルシアちゃん」
宿の周りは沢山の人で溢れ返りまるで誰かの誕生日パーティのように色々な飾り付けがしてあって、外に置かれている簡易テーブルには家庭の味、お母さんの味がしそうな美味しそうな料理の数々が埋め尽くしていた。
あとから聞いた話によると、この料理はご近所のおばさまたち総出で作ってくれたそうだ。あまり食が太い方ではないがこれは残すわけにはいかない。せっかくこんなパーティーを開いてくれたみなさんに失礼だ、とルシアはゴクリ唾を飲んだところで気が付いた。一人ゲストが足りないことに。
「あれ? シルは?」
ルシアにとってはなんの悪意もない何気の無い質問だった。だったはずなのに何故かみなの動きが止まった。先ほどまであんなにもどんちゃん騒ぎをしてたというのに、今はみな沈んだ顔をし俯いている。
何故みんなが落ち込んでいるのか分からないルシアは首を傾げる。それを見たおばさんは捻り出すような声で「実はね…」と教えてくれた。シルがこの場に居ない理由を――
競馬大会にてパルスが他の選手の邪魔をするために巻いたマキビシ。実はあれは皮膚に触れただけじわじわと体を蝕み始め数時間後には命を奪ってしまうといわれる恐ろしい毒が塗られていたのだ。
あのマキビシに足を取られて転倒してしまった馬はもちろんのこと。運悪くマキビシの上に落下してしまった人や、競馬大会終了後にマキビシを回収した従業員、あれに触れた人・馬は盛れなく全員、その日にうちにお亡くなりになったそうだ。
この場にシルが居ないのはシルビアの供養埋葬を独りで行っているから。
みな手伝おうと言ったそうだがシル自身が自分でやる。独りにしてくださいと頼んだそうだ。
この場におばさんの友人とご近所さんしか居ないのはみんな失った愛馬、家族、恋人、友人の供養埋葬をしているからだそうだ。パーティーを開かないのは町の英雄に失礼だ、とみんな哀しみを隠して開いてくれたそうだ。
――夜が明けた。
宿屋の自分達が泊まっている部屋でルシアとシレーナは紅茶を片手に優雅なひと時を過ごしていると
「たいへんー! たいへん
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