???第二章 汚された草競馬大会-終-?
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ーー! へんたいーーー!」
バンッと勢い良く開けられたドアからランファは血相を変えて入り込んで来た。何があったんだろうかっ。
「変態!?」
「あっ……間違えた……」
変態というから何か変な人に変な事をされたのかと聞いてみたがそうではないらしい。なんだか気まずい雰囲気になって部屋に沈黙が流れる。
「えっとね…これなんだけど〜」頬をほんのり赤く染めもじもじしながらランファが差し出したのは、一通の白い封筒。封をしている部分には真ん中に盾がありその上に王冠、左右には側面を向きあった二匹のドラゴンが描かれたエンブレムのシールが貼られていた。
封を開けて中に入っている紙を取り出し読んでみる。
「………ルシア?」
「ね。ね。ねっ? 大変でしょ?」
確かにこれは大変な事だ。手紙の差出人はドルファフィーリング。昨日ルシアが出場した競馬大会の主催者企業だ。
そのドルファがルシア宛に、今度海の国で主催される立食パーティーへの招待状が届いたのだ。
―いったい何故?
首を傾げているとランファが「きっと競馬大会で優勝したからだよ!!」ひゃっほーいとベットの上にあげり体全体を使って喜びを表している。「パーティーってことはゴージャスなご飯? どんなの〜」出てくる質問は食べ物の事ばかり現金な子だ。全く。
シレーナの方を見てみると……?
「どうしたのシレーナ。不安そうな顔で外を見つめて」
窓ガラスに手をかけ外に広がる大空を物憂げに見つめているシレーナ。近寄り聞いて見たが彼女は何も答えなかった。答えない代わりに。独り言をひとつ。
「………嫌な予感がする」
呟いた。シレーナの勘は昔からよく当たる。まるで占い師のように。
そのことを誰よりも、身をもって知っているルシアは彼女の手を取り優しくはにかみ
「大丈夫だよ。なにかあったとしても君の事は僕が絶対に護るから――」
真っ直ぐに少しも逸らさずに、シレーナの瞳を見つめ言った。シレーナの顔はみるみるゆでだこのように赤くなっていき、最終的には耳まで真っ赤になり頭からは湯気まででている。
「……きゅ〜ん」
「えぇっシレーナ!?」
思考がオーバーヒートしてしまったシレーナはショートしてしまいその場に倒れてしまった。慌ててルシアが受け止めたので何ともなかったが…。
「あーー!! ま〜たアタシの許可ななくイチャラブしてるー!!」
だからアタシが許可した人としかイチャラブしちゃだめだって言ったでしょー!! とお怒りのぽこぽこ鉄斎をくらわされ。いたい、いたい、いたたた……と言っても止めてくれないランファにほとほと困りつつもこんな日常も悪くないと思うルシアなのであった。
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