人として生きていく 〜過去のあたし〜
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限りあたしが戦場に赴くなんてことはないんだし。
「……にしても」
懐かしいというか……何で今更あのときの夢を見たんだろうな。
前日にウェンディとあの頃のことを話したのなら分からなくもねぇけど、そんなことを話した記憶はないし、そもそも話す理由がない。
今のあたしはノーヴェ・ナカジマだ。
ドクターの元で動いてた頃の……荒れていた頃のあたしじゃない。
戦闘機人だって事実は変わらねぇけど、誰かの命令じゃなくて自分の意思で行動してる。戦ったり目的を果たすための道具としてじゃなく、ひとりの人間として生きてるんだ。
まあ……こんな風にちゃんと決められたのは割と最近のことだけど。あの戦いが終わった後、しばらくは上手く馴染めないつうか……恥ずかしくて義父さんのこと義父さんって呼べなかったし。あの人に関しても上手く話せなかったんだよな。今も話せるかっていうと微妙かもしんねぇけど。あっちは気にしてなさそうだけど、前は一方的に敵意ぶつけまくりだったわけだから……
「……ん?」
微かに来客を知らせるインターホンが聞こえる。
今日は全員仕事などで家を空けているはずなのであたしが対応するしかない。時間帯が昼間なのを考えると宅配便でも来たのか、ヴィヴィオ達が近くに来たから寄った可能性もある。
ヴィヴィオ達ならいいけど……義父さんやスバル達の関係者だと少し面倒というか緊張する。あたしに分かる話なら対応も出来るけど……。
まあ宅配便とかの可能性の方が高いとは思う。義父さん達の関係者ならこの時間帯なら直接本人のところに行くだろう。仕事上ではなくプライベートでの付き合いがある人物だと別だろうけど……とりあえずまずは誰かが来たのか確認しよう。
「はいはい、どちらさん……え?」
「よう」
気軽な挨拶をしてきたのは配達員でもなければヴィヴィオでもない。
黒を基調とした私服を纏っている長身の男性。手にはお菓子が入っていそうな箱を持っており、きっと手作りのものを持ってきてくれたのだろう。手作りだと推測できるのは目の前に居る男性が知っている人物だからだ。
「な……ななな何しに来たんですか!? って……うわぁぁあ!?」
予期せぬショウさんの登場に驚いたあたしは、無意識に後ろに下がったために足をもつれさせ盛大に尻餅を着く。
もしも家族が全員家に居る状態だったなら置いてあった靴などで更なる痛みがあったことだろう。ヒールなどの上にやってしまったら壊してしまったかもしれない。そう考えると不幸中の幸いと思えなくも……
「おいおい、大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。ひ、ひとりで立てますから!」
普通なら差し出されていた手を掴むんだろうが、あたしはそれが出来なかった。
だって……超絶恥ずかしいし。あたしは姉であ
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