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天下一の城はどちらか
第四章
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 そしてそうした人達も広島県民だ。それだけにだった。
 この宣伝についてはだ。そうした人達が出て来て言うのだった。
「おい、ここは広島じゃけえのう」
「あっ、じゃあ阪神の宣伝はあきまへんか」
「駄目だぎゃ」
「ちょっと気をつけた方がええのは言うておくけえのう」
 こう言うのである。双方に。
「巨人やったら問答無用じゃ。阪神と中日は大目に見たるがちょっと慎むけえ」
「わかりました。ほな」
「ちょっと大人しくするぎゃ」
「ああ。食い物はええがせめてここにはとラッキーとかドアラは出さんといてくれ」
 それだけはというのだ。
「ここはカープのテリトリーじゃけえのう」
「まあカープとは仲ようしたいですし」
「星野さんと浩二さんの関係もあるだぎゃ」
「そういうことじゃけえ。巨人じゃなければ百貨店の中は思いきりやってええけえのう」
 その筋の人はこう彼等に注意するのだった。確かにその筋の人だが営業妨害はしないだけましだった。ただ店の外でまではやるなというのだ。
 戦いはここまで白熱していた。店の中でも凄まじいものだった。
 階の右からは六甲おろし、左からはドラゴンズの応援歌、それが鳴り響く。
 きつねうどんときし麺が乱れ飛びアイスキャンデーとういろうが激突する。最早カオスだった。
 そしてそのカオスの中で大阪のものも名古屋のものも売れる。お互いに最早売り上げは目に入っていなかった。では何が目に入っているかというと。
「負けへんで!」
「勝つのはうちだぎゃ!」
「名古屋がなんぼのもんや!」
「大阪なんかカスみたいなもんだぎゃ!」
 彼等は勝つことしか考えていなかった。それしか目に入っていなかった。それでだ。
 客という客に売りまくる。さながらわんこそばの様に品物を出していく。食品や料理の他の名物料理に阪神タイガースや中日ドラゴンズのグッズまで売る。しかし野球関係は。
「ここは広島じゃけえのう」
「阪神はええわ」
「中日もいらんけえ」
 これは流石に売れなかった。
「浩二さんのプロマイドなら買うけえ」
「衣笠さんの写真集出さんかい」
「ああ、野村とか緒方はあるか?」
「北別府さんのサインあるけえ?」
 こんな調子で野球関係は売れなかった。しかし。
 店の外では注意されたトラッキーもドアラも店の中では大活躍だった。派手なパフォーマンスを見せつつ。セールスに参加していた。
 大阪城も名古屋城も輝いている。その中での激突でだ。
 彼等は数日に渡って戦い続けた。それが終わった時。
 双方倒れ込んだ。まさに矢尽き刀折れだった。
 その彼等を見てだ。主任は言うのだった。
「どっちも売り上げは凄かったのう」
「そうですね。今
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