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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。
0185話『照月、月を見て思う……。』
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秋の夜の空を眺めながら私はぼーっとある事を考えていた。
そんな時に秋月姉が話しかけてくる。

「照月……? 月を見上げてどうしたんですか?」
「うーん……そうだね。秋月姉、ちょっといいかな?」
「なぁに? 言ってみてください?」
「うん。そういえばさ………昨日ってさ、花月と夏月の進水日だったなって……」
「あぁ……そうでしたね」

それで秋月姉も私の隣に立って月を眺める。
秋月姉の視線はどこか儚なそうで触ったらふわっと消えてしまいそうで……。
だから私は秋月姉の手を握った。
錯覚だとしても秋月姉が消えるのは嫌だから。

「もう……困った子ですね」

そしたら秋月姉は私の考えは分からずとも頭を撫でてきてくれました。
うー……嬉しいんだけどなんか違うような。

「大丈夫よ。もうじき涼月も来る……だからいつかみんなで集まって笑いあえる時が来ます」
「そうかな……?」
「そう信じて行かないとやってられないでしょう?」
「そうだね……」

それで窓から流れてくる秋の少し寒い風を感じながら私は秋月姉とまた空の月を見上げた。
そんな時に誰かがやってきた。

「秋月姉さん、照月姉さん。夕ご飯の支度が出来たぞ。もう寒いから中に入ったらどうだ……?」
「ん。わかったわ初月。でも今はもう少し空を見上げていたいの……初月も来なさい」
「わかった……」

秋月姉のお誘いで初月も加わって少し一つの窓では狭いけど、でも三人で空の月を眺める。

「……でも、なにやら気持ちが沈んでいるようだね秋月姉さん」
「そうかな? まぁ、照月が花月と夏月の話題を出したから少し感傷的になっていたのかもね」
「花月に夏月か……たしか昨日が進水日だったか?」
「そうだよ」

私がそれで初月に答えてあげる。
えへへ……初月も覚えていたんだね。さすが姉妹なだけの事はあるよね。

「まだまだ僕たち三人だけだから姉妹艦としては下から数えた方が早いあいつらはまだまだ先の事だろうな……下手したら最悪会えない可能性も考えておかないといけないからな」
「そんな事を言うもんじゃないわ初月。こうして私達が再び会えた……だからきっと願えばいつか会えるわよ」
「……そうだな。悪い、僕も少し月にやられていたようだ。どうにも月を見ていると気持ちが沈んでくるものだからな」
「その気持ちはわかるわ」
「照月も分かるよ。変だよねー……名前に月が入っているんだからもっと喜びそうなものなのに……」
「元来月というのは太陽とは反対の位置にいるものですから闇の誘いでもしてくるのでしょうね」
「あ、秋月姉、どこか詩人っぽいね」
「そんなものじゃないですよ。でも、少し気持ちが塞ぐのは本当ですから……」

あ。また儚い笑みを浮かべる秋月姉がいる。
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