アージェント 〜時の凍りし世界〜
第二章 《暁に凍る世界》
ドキドキ!?温泉パニック!!B
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気取られない筈。そう思った暁人だが、それも新たに入浴してきた人物が誰かを把握するまでだった。
「ふぁぁ………やっぱり温泉はいいなぁ……」
「んなっ……!?」
暁人は我知らず声を漏らした。その声の主が女性だったからではない。ここにいる筈の無い人物の登場に驚愕した為だ。
「!?だ、誰かいるんですか?」
「(な、何故だ。何で高町なのはがここにいる!?)」
そう、入ってきたのはなのは、暁人がいる事など露とも知らず、自分の他にこんな時間に風呂に入る人など居ないだろうと思い、水着も着ていない。それは暁人も同じであったが。
最初こそパニックに近い状態に陥った暁人だったが、直ぐに持ち前の冷静さを取り戻すと、現状の打開策を思索する。思わず声を出してしまったが、存在がバレた以上、なんのレスポンスも返さない訳にもいかない。そこで……
『……あ、ああ。女の子が入ってくると思わなかった。直ぐ出るからあっち向いてな。』
氷で筒を創り、それに向けて話す事で、声を反響させて自分が誰か特定出来ない様にする。実際、筒の先から出てきたのは暁人のそれとは似ても似つかわない、低くくぐもった声であった。
「お、男の人………い、いえ!すみません、どうぞ!!」
『いや、こっちこそ済まないな。誰も居ないだろうと思って水着着てないんだ。』
そういいつつも氷で鏡を創り、気付かれぬ様になのはを観察する暁人。彼の名誉の為にも明記するが、下心は無い。無いと言ったら無い。
なのはは完全に暁人に背を向けており、同時に恥ずかしいのか体を小さく丸め、腕は胸の前でクロスさせている。余程恥ずかしいのだろう、後ろからでも分かるほどに耳が真っ赤だ。
「………って、いやいや。早く出ないとな。」
そう口の中だけで呟き、さっさと逃げようと立ち上がる暁人だった。が…………
一方のなのはは、羞恥で混乱する頭をどうにかして再起動し、何故相手がこんな時間に風呂に入ってるのか考えた。そして………
「あ、あの!」
『……何だ?』
「変な事聞くんですけど……さっきまで森で木を切ってませんでした?」
その時の暁人は、表面上は冷静を保っていたが、内心では舌打ちせんばかりであった。
(見られてた……?いや、斬り倒した後の木を見られたのか。さて………)
誤魔化すなり納得させるなりする必要があると感じた暁人は、一度湯船に浸かり直し、まずはどこまで知られたのかを確かめるべくゆっくりと口を開いた。
『……見てたのか?』
「えっと…その……音がして、見に行ったら木が倒れてたので。それで、足跡がこの旅館の方に向いてたのでもしかしたらって。」
足跡を見逃したのは暁人としても痛恨のミスだ。だが、雪国の足跡はそれこそ小一時間あれ
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