第一章
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天下一の城はどちらか
今だ。八条百貨店広島店の会議室で一つの騒動が起こっていた。場所は広島だ。名物はお好み焼きに牡蠣がまず挙げられる。しかしここではだ。
一方がだ。こう主張していた。
「あかん!ここは大阪や!」
「大阪の味のフェアや!」
「それでいくで!」
右側がこう主張する。だが、だった。
左側はその右側に真っ向からだ。こう反論する。
「いや、名古屋だぎゃ!」
「名古屋でいくぎゃ!」
「それしかないぎゃ!」
こう反論する。まさに会議室は真っ二つに別れていた。
それでだ。右側はこう言うのだった。
「たこ焼き出すで。お好み焼きにけつねうどん、串カツに河豚や」
「どや、ごっつええやろ」
「そこに豚まんにアイスキャンデーや」
「これに勝てるのはあらへんで」
「ふん、それがどうしたぎゃ」
「笑止千万だぎゃ、大阪者が」
「味は大阪だけじゃないぎゃ」
名古屋側も言い返す。負けていない。
「こっちは味噌カツにきし麺、味噌煮込みうどんに名古屋コーチン、海老フライぎゃ」
「あとういろうにモーニングもあるぎゃ」
「大阪には負けんぎゃ」
「それに名古屋城もあるだぎゃ」
名古屋の象徴の話も出したのだった。
「名古屋城に勝てる城ないぎゃ」
「おみゃあさん等大阪の人間には名古屋城はないぎゃ」
「それにドラゴンズはいつもタイガースに勝ってるぎゃ」
「所詮敵ではないぎゃ」
「言うたのう、お城かい」
「それだったらこっちも負けへんで」
「名古屋城が何やねん」
大阪側も引くつもりはなかった。広島においての大阪と名古屋の代理戦争は無意味にヒートアップしていた。大阪側はこう言うのである。
「こっちは大阪城や」
「大阪城に勝てる城はないで」
「太閤様が築いた天下一の城、日本のどの城よりも上や」
「名古屋城がナンボのもんや」
大阪側は倣岸不遜なまでに胸を反り返らせて言う。だが。
本当に名古屋側は負けていない。それで言い返すのだった。
「おみゃあさん等やっぱりアホだぎゃ」
「あえて大阪風に言ってやったぎゃ。アホだぎゃ」
「あの大阪城は秀吉さんじゃなくて徳川家が築いたものだぎゃ」
「秀吉さんの大阪城は大阪の陣でなくなってるだぎゃ」
このことは歴史にある。教科書にも載っている。
「しかも秀吉さんは尾張、名古屋の人だぎゃ」
「大阪の人間ではないだぎゃ」
「何たわけたこと言っとりゃーーーす」
「大阪なら文左衛門さんだぎゃ」
「それを言うたら名古屋の城は二代目やろが」
「あれ空襲で焼けてるやろが」
大阪側はまた言い返す。最早売り言葉に買い言葉だ。
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