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天下一の城はどちらか
第一章
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「こっちは三代目やけど空襲でも生き残ってるわ」
「こっちの天守閣はそれこそ不死鳥やで」
「名古屋城とはちゃうんや」
「そや、悔しいか二代目」
「それにな。大阪は文左衛門さんだけちゃうぞ」
 今度は文芸の話になる。
「ノーベル文学賞の川端康成は大阪人やぞ」
「織田作之助も大阪人や」
「井原西鶴もおるわ」
「上田秋成もな」
「今は田辺のお聖さんもおるわ」
「与謝野晶子さんもやぞ」
 生きている人も偉人も一緒くたにして言う。ちょっと聞くと誰が活躍中で誰が偉人なのかわからない。しかし彼等はあくまで言うのだった。
「野球選手なんかどれだけおるかわからんわ」
「巨人に行った裏切り者もおるけどな」
「大阪は文化もスポーツも日本をリードしてきたんや」
「大阪こそクールジャパンの発祥地や」
 日本で最もクールジャパンでなさそうだがそれでも言うのだった。大阪側はこれで勝ったと思った。だが名古屋は名古屋で負けてはいない。
「名古屋からさっきの秀吉さんも信長さんも出たんだぎゃ」
「家康さんもだぎゃ」
「天下の三大英雄は全員愛知出身だぎゃ」
「即ち名古屋人だぎゃ」
 そうだというのだ。彼等の誇りを話に出す。
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