ペルソナ3
1844話
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何かに気が付いたかのように俺に視線を向けてくる。
「ちょっと、アクセル。あんたね。今朝の自己紹介の時の手品、空間倉庫を使ったでしょ」
「まあな。言っただろ? 種も仕掛けもございませんってな」
「……普通の手品は、そう言っても実際には種も仕掛けもあるのよ。アクセルの場合、本当に言葉通り種も仕掛けもないんだものね。何人か、本当にどうやったのか分からなくて、かなり真面目に頭を悩ませてたわよ? 可哀想に」
そう言いながらも、ゆかりはその友人に何か教えるつもりはないのだろう。
いやまぁ、普通の人が空間倉庫とかそういう話を聞いても、とてもじゃないが信じられないだろうけど。
「ま、手品ってのはその謎も含めて手品だからな。頑張って答えに辿り着いて貰うとしよう」
「……何も知らない人が答えに辿り着けたら、それってもの凄いと思うんだけど」
「だろうな。俺もそう思う」
そんな風に会話をしながら、お互いに食事をする。
ゆかりは1杯でよかったらしいが、俺は結局3杯の釜玉うどんを食べた。
そしてデザート代わりに、いつものスーパーで以前買っておいた、300円くらいのエクレアをゆかりと一緒に食べ、食後のお茶としてウーロン茶を飲んで昼食を終える。
エクレアなら紅茶じゃ? とも思ったが、今日は何となくウーロン茶の気分だったのだ。
「それで、アクセル。今夜はどうするの?」
「どうするって言われてもな。……タルタロスに行っても16階はまだ閉まってるだろうし、ゆかりのレベル上げも最近はマンネリ気味だし」
「……それは否定しないわね」
イオを使って様々なシャドウと戦ってきたゆかりは、15階までに出てくるシャドウが相手であれば、もうそこまで苦戦する事はない。
勿論シャドウの数が3匹、4匹といった風に多くなると、話は別だが。
数が多くなれば対処は難しくなるが、逆に言えば数が数が少なければ十分対処は可能だという事になる。
その辺りを考えると……うーん、やっぱりもう少しゆかりを鍛えた方がいいのか?
それこそ、シャドウが10匹近くいても1人で対処出来るように。
ただ、そうなるにはまだ随分と時間が掛かりそうな気がする。
4月になったし、そろそろ何かが起きてもいいと思うんだよな。
色々と例外がありすぎて確実にとはとても言えないが、春とかは何らかの物語があった場合、それが始まったりするのは珍しい話ではない。
「じゃあ、やっぱり今日は適当にすごすか。……何なら、また火星にでも行くか?」
「ちょっと興味はあるけど、止めておくわ。それより、そろそろ新しい弓が欲しいんだけど。ショートボウだと、死甲蟲を相手にした時、矢が通らないし」
「そう言ってもな。死甲蟲の外殻を貫くような弓なんて、それこそゆかりの筋力だと弦を引けない
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