『こども』
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組長と誠が来た。
誠が零の背後に立つ。
悲しそうにチカラ無く話す。
『なんで抜け出したんや?あかんやろ?勝手に人のポケットから鍵取るような子やったか?見んでええもん、知らんでええこと、其の方が幸せなことが此の世には腐るほど在るって、零、お前が1番よぉ知っとる筈やろ』
背中越しでも解る。誠の表情が...想いが、痛いほどに...。
続けて言う。
『此の人も、お前と似てる部分が在るって解ってきた頃、手遅れや思た。だから言うたやろ。父親でも、父親代わりでも無いって。すぐ感情移入し過ぎるお前に...優し過ぎるお前に...今、お前の気持ちを考えただけで俺は辛いし、何より守れんかった自分が情けない。死にたくなる』
零は、立ち上がって誠を見て、抱き締めた。抱き締めて、頭を撫で撫でして言った。
『大丈夫、ありがとう。零の為に誠自身を責めんといて。誠の気持ち、解ってるつもりやから。大丈夫、大丈夫やで。いっつもありがとうなぁ。こんな零を守ってくれて。誠、零は大丈夫。誠は?誠は大丈夫?』
誠が泣き出す。
零は抱き締めたまま、頭を撫でたまま、誠が泣きやむまで『大丈夫やで』って言い続けた。
零は所詮子供。誠も子供。支え合ってやっと立てる時も在る...。
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