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TOHO FANTASY T
少女
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霊夢は近くに止めてあるバイクに跨ろうとした。…その時であった。とある一声が、彼女を止めたのである。決心に満ちた英雄の声が辺りに響く。その谺は何度も霊夢の中で反芻するのだ。

「待ってよ!──私も…私も行く!みんなを助けに行く!お姉さまも、咲夜も、小悪魔も、美鈴も…全員を助けたい!」

フランはそう訴えると、霊夢は頷いた。それは少女にとって意外な答えであった。

「当たり前じゃない。…早く助けに行くわよ。少し道順は難しいけどね」

「…うん!」

フランも彼女の後ろに跨ると、霊夢から拳銃と銃弾とを渡された。受け取ったフランは目を数回開閉させていたが、霊夢が簡単な操作を教えた。物珍しさから拳銃を扱うフランだが、巫山戯る事とのけじめはしっかり付けていた。

「今のあんたは力を吸収されて無いのよ。…だからこれで戦いなさい」

「…霊夢、ありがとう」

霊夢は農民たちと研究者の見送りを受けて、そのままバイクを走らせようとした。最後に老婆から手渡された着替えを受け取り、周囲にカモフラージュした。これで彼女たちはこの世界の人である。

「…何から何まで、感謝するわ」

霊夢は感謝がしきれなかった。──全ては奴隷の為に、彼女は国と戦うのだ。…そう考えると、彼女は自分に仲間がいて嬉しかった。何せ、心細い事が無くなるからだ。
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