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歌集「春雪花」
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 松の葉に

  落つる日差しの

   儚きて

 なお恋しきし

    君の影待つ



 秋の陽射しの降り注ぐ空に伸びる松の木…。

 秋の気候は変わりやすく、こんな陽気は長続きはすまい…。

 こうして四季は移り変わるが、松は変わらず深い緑を纏う…まるで私の寂しさが変わらぬように…。

 ずっと変わらぬ彼への想い…今も来るはずのない彼を待ち続ける…。



 想わねば

  憂くもなかりき

   秋の月

 恋に嘆きつ

    虫の音を聞く



 彼のことを諦めれば…想わずにいられたら…こんなに憂いて秋の月を見上げることもなかっただろう…。

 明かすことの出来ぬ恋を嘆けども…如何にすることも出来ぬ世に…


 ただ、秋虫の鳴き声だけが響いている…。




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