一話
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こか探るような視線にも感じる。
「ははは。今日ここに越してきたからな。仕方ないぞ」
「なるほどのぉ。しかし二人も転入生が来るとは今年は何か起こりそうじゃな」
プルルル。
不意に携帯の着信音が響く。
どうやら緑髪の少女のものらしい。
「光姫さま。銀次さんが直接ご相談したいことがあると‥‥‥」
「分かった。すぐに戻ると伝えておけ」
彼女たちは茶店に多めの代金を払うとまた来ると言い残し大通りに消えていった。
「店主。俺もお茶をもらえるかな」
「え、あ、はい。少々おまちください」
長椅子に腰掛ける。
人通りの多いこの通りでかなり恵まれた場所に店を開いたなと新之助は思う。
だがしかしその一方で客のほとんどが此方に見向きもせずに隣の武家屋敷のようなカフェに足を運んでいるのが目にとれた。
「どうぞ。お茶です」
「あぁ。ありがとう」
店主からお茶を受け取る。
熱々な茶碗から広がる芳醇な香りが鼻を包んだ。
「いい匂いだ‥…ズズっ」
茶を口に含み、ピクリとまゆを動かした。
「うまいな」
「ありがとうございます‥‥‥それと先ほども」
「気にするな‥‥‥あぁ。それと自己紹介が遅れたな。俺は明日からこの学園に通うことになった徳田新之助だ。よろしく頼む」
「え!奇遇ですね。実は俺昨日から。秋月八雲って言います。こちらこそよろしく」
そうして彼、八雲と他愛ない話を楽しんだ。趣味は何か、彼女はいたのか等々。
話が盛り上がってしまい空が茜色に染まる頃には下の名前で呼びあうほど仲を深めていた。
「なるほど。八雲の茶の腕前は祖母譲りか」
「まあね」
パカラ、パカラ。
馬の蹄の乾いた音が遠くから聞こえる。
それからほどなくして朱色の髪をポニーテールにした少女が白馬でやって来た。
「やーくも。調子はどう?」
「色々とひと悶着あったけど順調だよ」
「ふーん。よかったー。そっちの人は?」
「俺は明日からこの学園に通うことになった徳田新之助だ。よろしく頼む」
「えーッ!?」
大声を上げた彼女は目を見開いた。
「すっごい偶然!私と名前そっくり!私は徳田新って言うの!」
「すごい偶然だ。まぁこれからよろしくな」
新之助は驚いた素振りを見せずに淡々と答えた。
「うん!こちらこそね!」
「じゃあ俺は帰る、代金は‥‥‥」
「いいよ今日は」
「いやしかし‥‥‥すまんな。ありがとう」
新之助は二人に見送られながら今日から住む家の帰路につく。
「新さん。また明日」
「じゃあね〜」
>>>
夜中になり、いざ就寝と布団に入ったときだった。
スマートフォンにLINEが入っていることに気付く。
「八雲か
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