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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百話 「チート転生者」シャロン・イーリスと対峙します。
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は書棚に向かっていた。
「出立準備をするその前に――。」
シャロンとしては一つやっておくことがあった。むろん成功するとも思っていない。ただし、別の意味で相手に一撃を与えておく必要はあった。

* * * * *
「これはまずいな・・・・。」
ヤンは久方ぶりに帰ってきた自宅で新聞を読みながらつぶやいた。どの紙面にもシャロンの名前が載らないことはなく、シャロンを賛美しない紙面は存在しなかった。娯楽などのチャンネルを除いては熱狂的なシャロンに対する特集が組まれ、賛美する番組が繰り返し流れていた。
「何がまずいのですか?」
ヤンに紅茶をもって書斎に入ってきたユリアン少年が尋ねる。
「普通なら繰り返し聞く情報は人間に刺激を与えなくなるものなんだよ、ユリアン。でも、外を見てごらん。」
ユリアンが薄い白のカーテン越しに外を眺めると、官舎の外では熱狂的な行進が行われつつあるところだった。それはデモではなく、シャロンを賛美し続ける集団の行進だった。
「帝国を倒せ!!」
「親愛なるシャロン最高評議会議長の敵、帝国を倒せ!!」
「シャロン最高評議会議長に仇なす不倶戴天の帝国は消滅すべし!!」
「そうだ!」
「そうだ!!」
という熱狂的な言葉が飛び交って行く。
「・・・・・・・。」
ユリアンは呆然とそれを見送っていた。ヤンはひとつため息をつくと、一口飲んだ紅茶のカップを傾けた。
「民主主義は終焉したのかもしれないね。」
カップの中の紅茶がさざ波のように波紋を広げている。それを見つめながらヤンは言葉を続けた。
「まだ、前政権の時の方が良かったかもしれない。何故なら大義名分とは言え、彼らは『自分たちの為に帝国を倒せ』などとは言わなかったのだから。かろうじてだけれど、民主主義としての政体は存続していた。でも、今は――。」
『今は自由惑星同盟の130億人が私個人の為に忠誠をささげる集団と化してしまった。つまり私はルドルフと同じ、ということかしら?ヤン提督。』
不意打ちだった。ユリアンはお盆を落とし、ヤンはカップを持つ手を上下させ、紅茶の幾滴かをはね飛ばした後、書斎のTVを見た。

シャロンが書斎のTVに写っていた。いつもの微笑をたたえて。

「あなた、どうしてここに――。」
このTVは普通のTVであってヴィジホン機能を有していないはずである。当初変なTV番組かと思ったが、違う。紛れもなくシャロンは通信してきている。
『どうして通信できるか、等考えなくてよろしい事ですわ。そんなことは些末時なのだから。』
「・・・・・・・。」
『さて、先ほどの話に移りましょうか。そう、今や自由惑星同盟は自由惑星同盟ではなくなったのです。民衆は既に私個人に忠誠を誓う集団となり果てた。私が『魔力』を使って彼らを支配した、と言ったらあなたは笑うかもしれま
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