幻想御掌3 -魔の手は身近にまで-
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──私は逃げた。
ひたすら、別に襲われているわけでもなく
何か逃げなきゃいけない特別な理由なんて無いけど
それでも、私は黒子と湊から逃げた。──
先程まで、幻想御掌の件で私と湊、黒子は病院に訪れていた。
でも木山先生に会う前に私が寝てしまい、起きた時の湊と黒子の会話を聞いて私はいてもたってもいられなくなった。
『昔は恋愛の意味で好きだった。』
──ほんと、私何やってんのかしら…
さっきの自分の行動に呆れて何も言えず、笑ってしまう。
別に自分と湊はただの幼馴染み、つい最近まで義理でも兄妹だったのだ。
自分は一体何を期待していたのだろう。
病院から走り何もか考えず我武者羅に走り続けた結果、いつもの見慣れた公園に着いていた。
私はいつものようにお金を飲み込む自動販売機に近づいて、いつも通りに蹴りを入れる。
「……またハズレ。」
今日はついてないな…と思いながら出てきた缶ジュースに視線を向けて、手に取る。
ジュース名は黒蜜サイダー。
「こんなジュース作ろうとした人の考えが分からないわよ…」
文句を言いながら遠くから聞こえた警備ロボから逃げるために近くの電灯に能力を使って飛び乗る。
電灯の一番上まで来てプルタブを手で触れて、開ける。
文句を言いつつも私は黒蜜サイダーを口に含んだ。
「……やっぱり、ヤシの実サイダーが一番ね。」
うんうんと一人で頷いていると電話に着信が入った。
ゲコゲコとゲコ太の鳴き声が着信音と、スカートのポケットの中でバイブ音と共になっている。
画面を開くと、真ん中にはいつも仲良くしているこの1人から。
─佐天さん─
「佐天さん?」
私は疑問に感じながら電話に出る方のボタンをタップし、耳元に携帯を近づける。
「もしもー」
『御坂さん!』
私の言葉は電話越しで慌てている佐天さんに打ち消されてしまう。
私は「とりあえず落ち着いて」とだけ告げて、落ち着かせた。
「それでどうしたの?」
『その……私、倒れちゃうかも知れません…』
「……え?」
私は携帯を持つ反対の手に持っていた缶を地面に落とした。
下にいたいた人が驚きの声をあげていたが申し訳ないと思いつつ、スルーする。
スルーと言うよりも電話越しに告げられた内容があまりにも簡単に受け止めきれる物じゃなかった。
「えっと…佐天さん?どういう事…?」
『私、幻想御掌を……』
「佐天さん?……佐天さん!」
佐天さんの言葉は繋がらず、変わり
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