第一章
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な、見ればわかるんだよ」
綱元もこう言うだけだった。今は。
「その目でな。ただな」
「ただ、ですか」
「びびるな」
これは絶対にだという口調だった。
「間違ってもそれで海に落ちるんじゃねえぞ」
「鮫がいるからですか」
「鮫じゃねえ」
それではないとだ。網元は即座に言った。
「そんな甘いものじゃねえ」
「えっ、海で一番怖いっていうと」
彼は学校で教わったことをそのまま言った。それはというと。
「鮫じゃないんですか」
「それに時化とかだな」
「そういうのじゃないんですか」
「確かにそういうのも怖いさ」
網元も鮫や時化の怖さは否定しなかった。それはとてもだった。
「それでもな」
「もっと怖いのがあるんですか。海には」
「そのことはこれからわかることだ」
今からだというのだ。それは。
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