ペルソナ3
1843話
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ざわり、と。
ゆかりの叫びを聞いた2-Fの生徒達がざわめく。
……まぁ、転入生としてやってきた相手を見て、いきなりクラスの者が……それも、色々と人気の高いゆかりが叫んだのだから、当然だろう。
ともあれ、ゆかりは驚愕の表情で俺を見ている。
教室の中を見回すと、そんなゆかり以外にも見覚えのある者がそれなりに多い。
ゆかりと一緒に行動していた生徒達だったり……お、順平の姿もあるな。
教室の中にも関わらず、帽子を被ったままなのはどうかと思うが、その辺りはポリシーとかそういうのなんだろう。
鳥海もそんな順平に注意をする様子がないのは、面倒臭いからか。
そういう意味では、順平がこのクラスになったのは運がよかったんだろうな。
「はい、静かに。今日からこのクラスに仲間が1人加わる事になりました。アルマー君、自己紹介を」
鳥海にそう促され、俺は口を開く。
「今日からこのクラスで世話になるアクセル・アルマーだ。色々となじまないところもあるが、よろしく頼む」
「……あら、それだけ？ 趣味とかそういうのはいいの？」
俺の自己紹介が予想外に短かったのだろう。鳥海は驚いた様子でこちらに尋ねてくる。
だが、自己紹介と言ってもな。まさか、魔法を見せる訳には……いや、そうだな。魔法を魔法と知られなければいにいのか。
「分かりました。じゃあ、自己紹介代わりにマジックでも」
「は？ ……まぁ、いいけど。手短にね」
いきなりの俺の言葉に鳥海は呆気にとられるも、特に止めるような事はない。
クラスの者達も、いきなり俺の口から出たマジックという言葉に驚きはしつつも、興味津々の表情を向けてくる。
「さて、では鳥海先生。先生の持っている何か……普通なら俺が持っていないような物を貸して下さい」
「え？ 私？ ……はい」
いきなり話し掛けられた事に若干驚いた様子の鳥海だった、ポケットから口紅……いや、リップクリームか。とにかくそれ系統の物を俺に渡してくる。
それを受け取り、クラスの皆に見せるようにしながら右手で握る。
「今、俺はこうして右手に鳥海先生の私物を握っている。それは皆にも分かるな？」
うんうん、と。クラスメイト達が頷いているのを見ながら、次の瞬間手の中の物を空間倉庫に入れる。
そして、わざとらしく皆の前に握っている拳を持っていき……握っていた拳を開く。
近くで見ていた者達は、当然右手のリップクリームが床に落ちるかと思いきや、既に右手の中には何も存在していない。
『えー！』
クラスの中から驚愕の声が上がる。
まぁ、右手でリップクリームを握ってからは、特に何もしていなかったのだから、その状況で消えたのは驚きだろう。
そうして皆の意識を右手に集めている間に、
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