トンネルでの戦い
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GENESIS:CONCORDIAを破壊し、煙が立ち上る中──専ら彼女たちはGENESISの恐怖を間近にして震え立っていたが、その恐ろしさを何とか必死に打ち消していたが──中毒死を免れるために階段を上がると、神子がバイクを近くに置いて2人の前に姿を晒していた。煙が外へ出る中、それに抗いを示すかのように自身のつけていたマントを靡かせた。外套には「PYT研究所」と書かれており、その黄金の髪はサラサラして虚空を彷徨っていた。
「神子、あんた…」
霊夢は元より知り合いの神子も敵であることを認識すると、仲間はそんな神子を恐れ、霊夢の後ろに隠れる。
神子の超越的な存在感は、神学の方面から説かれた超越道徳の形式のように他の諸形態をして益々力強く道徳の現世性を引っ張るのだ。その性格を強調せしめる機縁を因果と称し、重たい鎖を背負う価値のシーシュポスたるは、性分とて霊夢と変わらない。その霊魂は錯綜することの無い純血性を示していたが、決して系譜論がアニマをも影響を与えるという訳ではないが──。
「──これでC区管轄の奴隷が解放されるとでも思いました?」
よくよく考えるとC区管轄内の仲間は何も変わらなかった。爆発による連鎖的な轟音は他の機器をも壊すが、決してPDMが解除されて喜ぶ人々の声が耳に入ることは無かった。背筋が凍るような思いが不意に通り抜けた。
希望が一転して落胆となり、憐れみさえ浮かばれない愚かな死体と成り得たのだ。彼女は今に世界を知った。それが運命愛に於ける大地の儚さであったのである。
「ど、どうして…」
「事前にGENESISが破壊されても持っているデータを散乱させずに、中央の機械に集める保険をかけておいたんです。理解出来ますか?……要するに、あなたたちが他のGENESISを破壊しても何の意味もない」
神子は霊夢に言いきると、霊夢は歯を食いしばって反論した。能動的ニヒリズムの如き生への肯定、その力への意志の顕現は神子を驚かすところがあった。反逆の狼煙を展開する霊夢にとって、寧ろ逆境は乗り越えるべき壁のような存在であった。
この逆境は実践的側面から観た時のみ解かれる、一つの個人に帰す部分である。恰も共同に条件付けられる責任の制裁が関与される事は無かったかのように。その非人格的な肯定と超人格的な能動性が弁証法的帰結を迎え、今の霊夢を作り上げる。生きる事は戦う事である(vivere est militare)ように、彼女は闘争を肯定したのだ。
「──なら他のGENESISを壊して、最後にその機械を壊せばいいだけじゃない!」
「……博麗の巫女、あなたは哀れです。こういう結論を示すとは」
神子は剣を鞘からさしぬくと、黄金の刀身を露見させる。その剣の様相は宝飾が沢山施された豪華なものである。鞘に金銀の玉が埋め込まれ
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