『結果』
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組長が来た。あの頃のまま、変わらず厳つい顔で、でも、誰よりも優しい心で強く抱き締めてくれる...。
『再会にふさわしくない現場やけど、まぁ、俺らの巡り合わせらしいっちゃ、らしいかもな!落ち込むな。零のせいや無い』
『それが、そうでもない気がして...零が記憶戻ってないフリ続けてたから...』
『仮にそうやとしても、記憶戻った状態で対峙してたらアイツはもっと不幸やった。幸せな気持ちで最期を迎えられたなら、其れは零のおかげしかない。此で良かった。此が最善だったんや。後悔することは何も無い』
零は何も反論できず、でも、組長の言葉や想いすら今は受け入れたくはなくて話を逸らした。
『...誠、下で寝てるから行ったげて』
鍵と、誠のケータイを渡した。
渡し終えたのに手を引かない。
『まだ渡すもん在るやろ?』
『...無いで』
『ほなアイツは何で撃ったんや?』
『...』
『渡せ。赦さん!』
『...』
『ええから誠のとこ行ったげてや。誠はあれからずっと一緒に居る大事な息子やろ。零なんかと同じ様にしたらあかん。もっと大事にしたってや』
『同じ様に大事にしてるつもりや!一緒におってもおらんでも同じ様に想てる!』
『同じじゃあかんやん。傍で命張ってくれてるんは誠やし』
『...せやな。解った。解ったから、とりあえず今は其れ預からしてくれ』
仕方無くリボルバーは組長に渡した。べつに今此処で死ぬつもりはなかった。組長に此以上迷惑かけるつもりは無いし。
リボルバーを受け取った組長は、零の頭を優しく撫でた。それから誠のとこへ向かった。
組長の手の温度は懐かしい。鮮明に憶えてる。組長に拾われた時の記憶。組長との日々。父さん代わりになってくれた日々。
知らん間に、零を引き取ろうと施設にも行ってくれてた。法的に無理やったけど。
組長との日々は零にとって本当に大事な日々だった。無くては成らない存在だった。依存してたんかもしれんって思うくらい、必要だった。
本当の親なら当たり前なんかもしれん。でも本当の親に対して必要だと想ったこと無い。だから此の感情が正常か異常か解らんかった。
自称父さんの此の人とも、偽りではあるけど、束の間だったけど...それでも、其の時間だけは大事にお互いを想ってた。
ずっと一緒に、記憶無くしたフリのまま生きてこうって想えた。根っこが腐ってない人に殺させたくなかった。殺人の罪を被って欲しくなかった。殺したくもなかった。
だから平和に解決するには...って、それだけを...せやのに、其の結果が此って...あまりにも残酷やわ。
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